2016年5月5日木曜日

7,10,14MHz 3バンド・バーチカルアンテナ ミニマルチ V3X

この記事はアクセス数が多かったものの、画像に周囲の建物(屋上・ベランダ等)が写り込んでしまいプライバシーへの配慮の観点から非公開にしていました。プライバシーへの配慮とは「本来地上からは見えないはずのご近所さんの屋上やベランダの様子が見えるのは好ましくないだろう」という判断でした。とはいえ、どなたかの参考になるかもしれません(?)。画像と内容を確認して再度公開します。

このアンテナは2021年に撤去しました。現在当方を尋ねて来られてもお見せすることはできません。アポなし来訪はお断りします。またメーカーさんの閉業が決まり新品は手に入りません。バーチカルアンテナの設置に関する、ちょっとしたヒントくらいに思って読んでください。

2023/9/1 update
以下本文
★★★★

7/10/14MHz 3バンドバーチカルアンテナ ミニマルチV3Xを紹介します。このブログのV40LDXの投稿に続いてバーチカルアンテナを設置、調整する際の参考になればと思います。

※当方はミニマルチアンテナさんの製品をいくつか使っていますが、同社と直接の関係はありません。たまたま自分にとって使い勝手のいい製品があっただけです。


このアンテナは2014年の1月頃から使ってます。そもそもは10MHzか14MHzのフルサイズのバーチカルが欲しくて自作しようかと考えていました。しかし、常設できるようなしっかりしたものを作るとなるとそれなりのコストがかかってしまいます。それで既製品のなかからこの製品を探し出しました。国内でバーチカルアンテナの品揃えがあるメーカーと言えば、ミニマルチアンテナさんになります。

全長が7m近くあるので、全体像がわかる画像がうまく撮れなかったのですが、センターというよりトップに近いところにトラップコイルが入ってます。想像ですが、全体で7MHzの短縮、10MHzでは短縮トップローディング、14MHzがほぼフルサイズで動作するのではないでしょうか?





わかり易い画像が撮れないのですが、V40LDXと同じように特注金具で屋上の隅に設置しました。地上高は10m。※この金具はルーフタワー用のステーアンカーに取り付けてあります。ワカマツ製作所さんの製品。



給電点では同軸ケーブルにフェライトの筒(43 材)とトーナッツ型のコア(FT240-43)を通してしています。コモンモード・チョーク(フロートバラン)としての動作を期待しています。V40LDXと同じで、カウンターポイズ的なものは無くても容量結合で一応アンテナとして動作しますが、同じように取り付けておきました。SWRには関係ありません。詳しくは7MHz・モノバンドバーチカルアンテナ・V40LDXの投稿をご覧ください。※チョークではなくてバランと言わないといけないそうです。


カウンターポイズ“的”なものは、3方向に7,10,14MHzの各バンド用におおよそ1/4λ程度の長さのものをそれぞれ何本か適当に取り付けて3方向に伸ばしています。例によって、(高周波)接地抵抗が低くなるであろうという“心理的な効果”を狙ったものです。V40LDXの場合と同じで建物の鉄骨に取り付けた特注の金具に設置したため、鉄骨に容量結合しています。ですからこのカウンターポイズ的なものがなくても、一応アンテナとして動作はしていました。

指向性をなくしたければ、カウンターポイズは放射状に展開した方いいのでしょうが、何事も与えられた場所でできるだけのことをやるしかありません。(高周波)接地抵抗を低くして輻射効率を上げるのなら“面”にして面積を増やすと良いと言われますが、大きな金属板は大変高価ですし、重量があります。


グラウンドが容量結合のためSWRの底が思いっきり周波数の低い方に引っ張られています。カット&トライでラジエター(エレメント)の長さを1m(!)短くしました。

ところで、このアンテナは3バンドですので、状況によってはラジエターのどの部分を短くするか考えないといません。今回は3バンドとも同じようにSWRの底が100kHz程度ずれていましたので、コイルの下のパイプとパイプのつなぎ目で調節しました。

つなぎ目でエレメント(パイプ)をずらして長さ短くし仮止め、そしてSWRを測定、を繰り返します。長さが決まったらドリルで下穴をあけてタッピング・ビスで留めます。大ざっぱなやり方ですが、このやり方で間に合わせました。

※マルチバンドのアンテナの調整は構造によって調整点が異なります。このアンテナの場合、仮に7MHzだけが周波数の低い方ににずれていたら、コイルの上部のエレメントを短くすることになります。

水平方向にいろいろな建造物がありますから、あまり電波は飛びません。至近距離にルーフタワーもあるので、干渉しているはずです。V40LDXと対角線上にあるので7MHzでは切り替えると相手の信号の強さが変わることがありますが、激変はしません。

★★★★

SWRは各バンド2.5以下に収まってます。
7MHz帯を例にすると一番低いところで1.1@7.140MHz。
同バンドでは主に7.100-7.200MHzで使っています。
SWR1.1は低すぎるので、アマチュア用アンテナアナライザーの誤差でしょう。

★★★★

自分としては、主にラジエターのみを調整することで済むバーチカルアンテナが使いやすいと思っていますが、状況によってはラディアルの調整ができるGP型の方がいいかもしれません。

アンテナの調整は、モノバンドのダイポールや1/4λの接地型(モービルホイップ)など構造が単純なものであればそれほど難しくないと思います。しかし、トラップコイルが採用されているなど構造が複雑なものになると、あちらが立てばこちらが立たず、調節は根気よくやるしかありません。

※工具や安全具、調整用の機器を持っていない方(特に初心者の方)は、業者さんに頼んで設置してもらった方が無難です。

● ミニマルチアンテナ株式会社 V3Xの定格 (使用説明書より)

使用可能周波数: 7,10,14MHz帯のハムバンド
エレメント数:    1
エレメント長:    約7.3m(調整により1m以上短くなってます)
バンド内VSWR:  2以下(最良点1.2)
耐入力:       2kW DC(3kW PEP)
給電点インピーダンス: 50Ω
適合マスト径:    60φ
重量:        約6.0㎏

以上です。

★★★★
追記:2023/9/1
本文では「バーチカルアンテナの調整は簡単である」かのごとく書いてありますが、すべてはコールド(GND)・グラウンド側の処理が決まって、ラジエターの長さで共振点の調節ができるようになってからの話です。市街地でバーチカルアンテナを何基か使って思うのは、(バーチカルは)あまり効率のいいアンテナではありません。給電点から見て水平方向に何らかの障害物がある環境ですから「飛ばない聞こえない」は仕方がないのですが、輻射角の低さやロスの多さが影響してか、国内はまあまあ聞こえても必ず呼び負けします。敷地があれば水平ダイポールと比較してみたいのですが、それは叶いません。

そして何より接地型アンテナはノイズが多いです。構造的にグラウンドループ(アースループ)が出来てしまうので承知の上で使った方がいいです。

V3Xの副産物としては長いアンテナなのでAMラジオ放送が良く聞こえます。コンディションがいいとバンドいっぱいにNHKや民放がぎっしり並びます。BCL向け??

おわり





2016年5月4日水曜日

7MHz モノバンド・バーチカルアンテナ・ミニマルチ V40LDX

この記事はアクセス数が多かったものの、画像に周囲の建物(屋上・ベランダ等)が写り込んでしまい非公開にしていました。画像と内容を確認して再度公開します。一部元記事にあった記述と画像は内容的に古いので削除しました。

このアンテナは2021年に撤去し完全に役割を終えました。最後はスタンドオフ碍子の変色が進み、コイルが入っている筒の下部が欠けて内部が露出していました。長年故障もせず良く頑張ってくれました。メーカーさんの閉業が決まりもはや手に入りませんので、閲覧者の方が追試することはできませんが、バーチカルアンテナの設置に関するちょっとしたヒントくらいに思って読んでください。

※この記事を読んでの来訪はお断りします。「見せて欲しい」「屋上へどうやってアクセスするの?」「どうやって建てるの?」の質問はナシで。

2023/9/2 update
以下本文

★★★★

当方で使っている、7MHzモノバンド・バーチカルアンテナ・ミニマルチ V40LDXの紹介です。建物の屋上にバーチカルアンテナ(接地型)を設置するための参考になるかと思い、実際の設置方法などをまとめました。



このアンテナは2007年2月頃から使ってます。それまでローバンドの運用は諦めていました。敷地が狭いため水平や斜めのダイポール、ツエップ型、ロングワイヤーは張れません。垂直系ならマルチバンドのバーチカルやGPが製品としてあるわけですが、その手のアンテナは調整が難しかったり、使える帯域が狭いので使いにくいアンテナという印象があります。

たまたまミニマルチアンテナさんのwebサイトで、“7MHz”“モノバンド”のバーチカルが製品としてあるのを知り、これなら調整が簡単そうだと購入してみました。



地上高10m位のところに、特注品の金具とマストで設置しました。白い四角柱の部分(ルーフタワー用ステーアンカー)は建物の鉄骨に繋がっています。本来はアルミのルーフタワーにステー線を張るためのものです。※この金具は「ワカマツ製作所」さんで作ってもらいました。

黒いビニル絶縁電線が何本か出ていますが、後からつけたカウンターポイズ“的”なものです(後述)。アンテナのグランド側~マスト~特注金具までは直流的に導通していますが、四角柱とその延長の建物の鉄骨までは導通していません。間に塗装があります。

カウンターポイズなしの状態でも容量結合によって、一応アンテナとしては動作しました。容量結合の場合、グラウンド側に思いっきり引っ張られるらしく、SWRの底がバンド外、低い方に100kHz以上ずれてしまいました。

そこでラジエター(エレメント)の長さを短くしてバンド内に持ちこむことにしました。ラジエターになってるアルミのパイプをずらしては仮止めしてSWRを測定、これを何度も繰り返しました。結果として1m位短くなりました。アンテナ本来の設計上の長さからずいぶん短くなってしまったので、ちょっと心配でしたが‥。






上の画像は給電点の部分。同軸ケーブルに黒い自己融着テープが巻きつけてあるのが見えますが、円筒形のフェライトの筒(43材)と、ドーナッツ型のコア(FT240-43)です。コモンモード・チョーク(フロートバラン?)として動作することを期待して入れてます。効果は不明、おまじないです。

何本か見える黒いワイヤーがカウンターポイズ的なもので、マストにアンテナ本体を固定するU字のボルトに蝶ナットとスプリングワッシャで止めました。ワイヤーの端には圧着端子をつけて導電グリスを塗ってます。

そして下の写真は、カウンターポイズ的なものを屋上の隅に這わせている様子です。この写真では見えませんが左側・屋上中央の方向にも数本まとめて張ってあります。





(内容的に古いので画像と本文をばっさり削除)


● 調整後の周波数とSWRの関係(晴天の日)

7.000MHz 1.1
7.100MHz 1.5

SWR 2.5 以下を許容すれば7.200MHzまで使えます。
主に7.000-7.1000MHzで使用しています。

※アマチュア用のアンテナ・アナライザーでの測定ですので多少の誤差があります。
SWR1.1というのは接地型としては低すぎ?

● ミニマルチアンテナ株式会社 V40LDX 定格(組立説明書から)

使用可能周波数:     7MHz帯ハムバンド
エレメント数:       1
エレメント長:        約8.21m(調整により1m以上短くなった)
バンド内VSWR:      1.3以下
耐入力:          3kW PEP
給電点インピーダンス:    50Ω
マスト径:         60φ
重量:          約4.8kg

※このアンテナは、現在製造販売されていません。後継モデルがあるようです。

●追記
●追記:2
(内容的に古いのでバッサリ削除)

●追記:3 2023/9/2 uppdate
モノバンドで調整もしやすくバーチカルアンテナ入門にちょうどいい製品でした。自作受信機との組み合わせで随分SWLを楽しみました。しかしながら「イマイチ飛ばない聞こえないノイズが多い」で特段効率のいいアンテナとは感じませんでした。バーチカルゆえの輻射角の低さ、ロスの多さ、ロケーションの悪さいろいろな理由があったと思います。時代が変わりFT8での交信が普及したので、今の状況なら違った感想を得たかもしれません。

おわり


2016年4月7日木曜日

真空管式 6球スーパーラジオのキット(GRS-6)

※この投稿は2012年頃の出来事です。真空管ラジオの組立に興味があって、何かきっかけが欲しい方や教材的なキットを探している方の参考になればと思いこの投稿を書きました。残念ながら、現在全く同一の内容のキットは入手が難しいようです。

★★★★

6球スーパーキット(GRS-6・中国製)を作ってみました。記憶が定かではありませんが、2004年か2005年頃、秋葉原の部品屋さんから通販でキットを購入、そのまま放置してありました。簡単な配線図しか同梱されていなかったので製作は半ば諦めていました。2006年頃「こだわりの真空管ラジオ作り」(技術評論社)という本をたまたま購入したところ、ズバリこのキットの製作記事を発見。この発見がなかったら、たぶん手をつけなかったでしょう。


この製作記事によって追加で購入しないといけない部品があることがわかり、秋葉原の国際ラジオさんに部品の調達に伺いました。このときこの本を持参したところ、掲載されている配線図に誤りがあるとのことで、お店のお兄さんが筆を入れてくれました。

その後もしばらく放置が続いたのですが、2012年頃ようやく手をつけました。本格的な真空管ラジオを製作したのはこの時がはじめてです。製作記事のとおりに製作しましたが、ゆっくりゆっくり作ったので完成までに4~5日はかかったと思います。


配線や組立の手順は本の中に詳しく書かれていて、そのとおりに組み立てれば完成させられます。配線の色分けやシールド線の使い方まで内容が濃いです。

それと配線や部品の装着にプリント基板と違う真空管ラジオ独特のテクニックがあることがわかります。また、アース(グラウンド)の取り方が真空管アンプとも違う。 高周波機器とオーディオ機器の違い‥なんてことを考えながら組み立てると面白いです。
              


部品のマウントでいくつかポイントがあるのですが、注意したいのはバリコンの装着です。バリコンはシャーシにゴムブッシングを介してネジ止めします。このネジの締め付け加減で、バリコンのシャフトとバーニアダイヤルの軸と合わせることになるのですが‥ダイヤルの角度によってはうまくシャフトが回ってくれません。

今回は他の部品との兼ね合いであまりスペースもなく、加工も面倒なのでこのままにしました。バリコンの動きは選局の感覚に繋がる大切な部分なので、本当は手を加えてしっかり組立てたいところです。できれば、バリコンはスペーサなどをいれてがっちりシャーシに固定して、延長シャフトとカップラを入れた方がいいと思います。







 手順を踏んで配線を確認、通電したところ一発で動作しました。
通電するまでの確認点なども本に記載されているので、勉強になりました。


アナログ回路で組まれているラジオは、必ずといっていいほど調整の行程があります。この調整次第で本来の性能が引き出せるか決まります。トラッキング調整に続いてIF(中間周波数)の調整ですSGがないのでディップメータで信号を発生させました。IFは調整後475kHzくらいになりました。IFTはHi-Fiタイプが同梱されていましたので、そのまま使ってます。やや発振気味になりましたが、Qダンプはしていません。※詳しくは本文参照。



オリジナルではオーディオアンプとしても使えるようになっていますが、このセットではそのための配線をしていません。一番右側のつまみはロータリースイッチに取り付けただけのダミーです。

感度はまあまあ、デカい音がします。バリコンがうまく回ってくれないので(無理に回せないないこともないのですが)、NHKとAFN専用になってます。ちょっと残念ですがご愛嬌‥とします。

AFボリュームは470kΩ(Aカーブ)のままにしてありますが、ちょっと回すと急にデカい音が出るので手を加えた方がいいかもしれません(可変抵抗器と固定の抵抗器を組み合わせるなど)。音のトーンが調整できますが、ほとんど動かしません。高音は絞って低音を強調して聴いてます。

いまどきなんで真空管ラジオ?と聞かれそうでですが、特別な理由はないです。先ほど勉強になる、テクニックがどうのと書きましたが、ただの道楽です。

★★★★

構成:6BE6,6BA6,12AX7,6AQ5,6E2,6X4
典型的な5球スーパーにマッジクアイが追加されています。
つまり典型的な6球スーパーです。

以上です。



2016年1月10日日曜日

3.5MHz マイクロバートアンテナ MicroVert (追記あり)

肝心なことを書くのを忘れていましたので追記します。マイクロバートのように給電線(具体的には同軸ケーブルなどのフィーダ)から高周波を輻射するアンテナを使う場合には、周囲の人や自分自身と距離を取るようにケーブルを展開してください。また送信電力は十分安全圏に入るように下げましょう。コンパクトなアンテナは便利ですが、目の前から強い高周波が出てたなんてことにならないように。

(使ってはいけないではなくてどこから電波が出ているのか意識しようという話です)

2023/11/10 update

★★★★

諸般の事情で非公開にしていた投稿を再公開することにしました。当初写真を多用したところ、ご近所さんのベランダや屋上が写りこんだ画像が数点ありました。今回は一部削除、修正を加えたものと差し替て公開します。

このアンテナは数年前に撤去して廃棄したため手元にはありません。上げ下げが面倒くさいのでアルミパイプと塩ビパイプの隙間を防水処理しなかったところ、雨水が入り込んでビスを腐食させてしまいました。給電点の圧着端子とビス、ボルトもコーティングをしなかったので緩みやすく腐食も進んでしまいました。撤去後廃棄するために分解しようとしたところボルトが錆びて緩まないので、ラジエターをディスクグラインダーでカットするはめになりました。

ビス、ナット、ボルトはステンレス製に交換するべきでしたが、ステン製は小分けしたものが手に入りにくいです(ちょうどいいサイズのがあるようでない)。いくつかのホームセンターや道具屋さんを探せばあったのでしょうが面倒になってしまいついつい放置してしまいました。メーカー製のアンテナには多めにステンレスの部品が入っることがあるので、それらを保管しておいて使うといいかもしれません。

コモンモード・フィルタ(チョーク)はタカチのプラスチックケースにいれましたが、塩ビパイプに入れて防滴防水にするか市販品で防水構造のものを使った方が無難です。雨ざらしになる場所にビニール袋に入れた程度では水が沁み込んできてコネクターやケーブルを腐食させます。時々袋から取り出して乾かすのも面倒です。

自作品ですから完璧さを求める必用はありませんが、長期的に使うとなるといろいろ課題が出てきます。「ぶっ壊れたらそれまで」「見た目は関係ない」「そもそも自作品」という考え方もありますが、耐久性や解体のことを考えると丁寧に仕上げるに越したことはありません。

尚、本文に書いてありますが3.5MHz帯(JAの80kHz)はSWR3.0以下でカバーできたのと、ローケーションの悪いバルコニーに設置した割にはまあまあ使えました。フルサイズダイポールと比べるものではありませんが、限られた場所でローバンドをやりたい方にとっては一応使えるアンテナだと思います。

変形コブラアンテナ、片側パイプ(コンデンサ)・コイルの直列共振回路の変形垂直ダイポール…いくつものアイデアを融合させた面白いアンテナでした。

update 2023/9/3

以下本文

★★★★

(この投稿の内容は2013年12月頃の出来事です)

3.5MHz用のマイクロバートアンテナを作ってみました。調整や設置の参考になればと思い、投稿にまとめました。寸法などは各局のサイトを参考にしています。



まずコモンモード・フィルタ(チョーク)を作りました。FT240-43相当品に3.5D-QEVをW1JR巻きにして2個直列です。2個のコアは密着しない方がいいのですが、細かいところは目をつぶってください。タカチのケースに入れましたが防水ではありません。中継コネクタを取り付けたのは脱着しやすくするためです。※通常コアは1個で大丈夫です。








今回1φのホルマル線は1㎏まとめ買いしましたが、生涯使い切ることはないでしょう。。

塩ビパイプにコイルを巻きますが、軽く張力をかけるだけで解けることはありませんでした。自己融着テープで仮止め。LCRブリッジでインダクタンスを測り巻き数を調整します。多めに巻いてカットすると良いです。

画像ではデリカ(三田無線)のミニブリッジ・M-1Dを使ってインダクタンスを測ってます。廉価なもので良いのでLメーターはあった方がいいです。


ラジエターは径の違う2本のアルミパイプで作りました。つなぎ目に割りを入れてホースバンドで止めます。画像では割りを入れ過ぎてます。


給電点です。同軸ケーブルをエポキシのパテで固定、防水を兼ねてます。圧着端子には導電グリスを塗りました。巻き数が決まったらコイル全体に自己融着テープを巻きます。











仮設です(下の画像)。マストはAmazon.co.jpで買ったステンレスの伸縮する物干し竿です。画像ではわかりにくいですがグラス・ファイバー工研さんの“Uブラ”で手すりにがっちり留めました。アンテナのマストへの固定も“Uブラ”です。(竿が伸縮するのでアンテナのテスト用に良いです)

(画像1枚削除)

このアンテナの調整のポイントですが、まずSWRを計測しながら同軸ケーブルの引き回しを決めてしまいます。給電点から床まで角度を決めて、その後ケーブルの引き回しを工夫しながらSWRが最低(底)になるようにします。

SWRが最低になったらラジエターの長さを上下させて、希望する周波数に合わせます。SWRの最低点がオフバンドになる可能性がありますから、アンテナアナライザーが必要です。またこの作業でSWRの最低点を見つけられないとなると、その場所への設置は無理かもしれません。





上の画像はすぐ脇の屋上から撮影したもの。ケーブルをコンクリートブロックで挟んで固定しています。マイクロバートアンテナでは同軸ケーブルがカウンターポイズのような役割をしていて、思いっきり電流が流れます。雨で床が濡れてしまうとSWRが大きく変化して使えなくなるのでコンクリートブロックで挟むことで床から浮かせています。

試みに同軸ケーブルをベランダの手すりに吊してみましたが、手すりと結合して電気的な長さが変わってしまうのでアンテナとして動作しなくなってしまいました。また雪で同軸ケーブルが埋もれると使えなくなります。



本当は宙に浮いた方が雨や雪の影響を受けにくいのですが、このやり方で妥協です。


下の画像はコモンモード・フィルターの部分です。大きなビニール袋で包んでコンクリートブロックで挟みました。完全な露天なので時々点検しないと水が入っていることがあります。





運用できる状態にしたものです(下の画像)


(画像1枚削除)

画像ではわかりにくいですが、斜めに引いた同軸ケーブルの“角度”が調整のポイントです。
角度によってインピーダンスとSWRが大きく変化します。



SWRが一番低いところ(底)で1.5くらいになりました。SWRが2以下の帯域が50kHzくらい。バンドの中心にSWRの底を持ってくると上下のバンドエッジで3以上になりますので、その付近ではアンテナチューナーで落として使うことになります。自分の場合は3.530MHzくらいにSWRの底を持ってきました。

★★★★

繰り返しになりますが、同軸ケーブルの引き回を調節してSWRが落ちないとなるとその場所に設置するのは厳しいです。できれば同軸ケーブル全体をまっすぐに、周囲の開けているところで展開したいものです。同軸ケーブルの角度や引き回しで輻射角も変わってくる‥はずです。

コンパクトなアンテナとしてマイクロバートに期待される方が多いと思いますが、同軸ケーブルの引き回しまで入れると“超小型アンテナ”とは言えません。

フルサイズと比べるものではありませんが、モービルホイップに比べたらずっと使いやすいですから3.5MHz帯の体験用にはいいかもしれませんね。

画像では実感できないかもしれませんが、当方のロケーションは非常に悪くてこのアンテナそのものはビルの谷間に設置してあります。一応国内QSOはできていますが、熱心にやっていないので報告できるような実績はありません。ロケーション次第では良い成績がでるのかも。

手持ちの資材がなかったので新規に買い集めました。マストも含めると3万円以上かかったと思います。資材が手元にあれば安上がりにできると思います。

以上です。

追記

しばらくアンテナまわりの点検をしないでいたら、屋外に出しておいたコモンモード・フィルタに被せてあったビニール袋が腐食して破れてしまい、ケースが雨ざらしになっていました。中が水浸しだったらマズイなと思いつつ分解しました。コネクタに水が入って同軸ケーブルを腐食させてしまうと切断して作り直しになってしまいます。





コネクタのネジがさび付いてましたが、内側はうっすらと水滴がつく位で済みました。コモンモード・フィルターを屋外に出さなければならないときは、防水のケースに入れてしっかり作った方が良いです。※防水の市販品を使った方が楽。

おしまい。

2016年1月9日土曜日

FCZ研究所 50MHz AM ポケット・トランシーバー(ポケトラ)

以下は古い投稿です。一度非公開にしましたが再掲します。
実際に運用する場合は、必要に応じてアンテナと本機の間にフィルタを挿入してください。

2024/02/28 update

★★★★

FCZ研究所のポケトラを作ってみました。
このキットは6m AMで自作をされる方ならたぶんご存知かと思います。

押入れに眠っているキットを作られる方がいるかもしれませんので
参考までに感じたところを書いておきます。

寺子屋シリーズ #067 上級
送信:50.620MHz AM 10mW
トランスレス変調(2SC1815Y 終段コレクタ変調)
受信:超再生(シンプル!)


(画像では塗装を失敗しています‥)

組み立て説明書の通りに組立てるだけです。
基板のパターンが小さく細かいので注意してハンダ付けしました。

送信回路はお馴染みのトランスレス変調の基本的なものです。
水晶発振子3rdオーバーによる1波のみ。

受信回路は超再生。ゲルマラジオに再生をかけているようなものです。
音量を調節するボリュームはなくイヤフォンで音を聞きます。

アンテナコイルL3でだいたいの受信周波数にあわせます。
近接している周波数に信号があるとそのまま聴こえます。
回路が簡単なわりに高感度ですが、決して選択度はよくありません。





組み立てまでは良いのですが、調整にはコツがいります。
この調整がオモシロいところです。
(このあたりが“上級”の所以でしょうか)

送信部の調整では回り込みに注意してください。
ケースに入れて動作確認をするときに
送信音をモニターして回り込みがおきていないか確認した方がいいです。

手順はお馴染みの10mW送信機とほとんど同じですから、
手順どおりに進めれば難しくないと思います。

発振回路は2SK192A GRを使った3rdオーバートーン回路ですが、
基本波発振にならないように注意してください(組み立て説明書参照)。


適切な負荷(アンテナ)がついていないと10mWでも回り込みが発生します。
(“ひゅー”“ぴゅー”という音がする)

ケースの中の配線はなるべく短く。
基板をケースに組み込むときにアース母線が太いと大変なので
所定のものより細くしましたが、長さはなるべく短くしましょう。

10mWですが006P 9Vの電池は安い物は使わない方がいいです。
電池がすぐになくなってしまいます。

受信部の調整点が多いです。
はじめにVR1を回してサーというノイズが聴こえるか確認します。
適当な長さのビニール線や15cmくらいのヘリカルアンテナでは
ノイズが聴こえないかもしれません(無音)。

私の場合はC17を20pF程度にして(流れる信号の量を調節する?)、
信号源からの信号を受信しながらL3、L4を何度も調整しました。
どうもL3の調整がポイントのような気がしました。
アンテナを交換してしまうと再度調整が必要になるかもしれません。
VR1はあまり動かしませんでした。

近くで強い信号を出すと“び~ぎゃ~”という低周波発振が起きることがあります。
このときは再度C17を調整します。

私の環境では未確認ですが、アンテナを付けたときにアンテナコイル(L3、7S50)のQが上がらず同調点がうまく出ないことがあるようです。そのときは直列で容量の小さいトリマコンデンサか数PFのコンデンサを入れて調節すると良いという話を聞きました。

★★★★

アンテナが良く、上手く調整できれば高感度(音が大きく)になりますが、
あまりに適当なアンテナではほとんど無音になってしまいますから注意してください。

あれこれ調整するのを面倒と感じるか、面白いと感じるかで、
このキットの評価が分かれるかもしれませんね。

※このポケトラで実際に交信したことはありません。

以上です。

2016年1月1日金曜日

春日無線変圧器・真空管式ギターアンプキット・5F1を作ってみました。

※この投稿は古いです。2012年9月頃の出来事です。
真空管式ギターアンプの製作に興味がある方の参考になればと思い投稿します。

(私にはアンプの音質の良し悪しはわかりません。
音質に関するコメントはこの投稿にはありません)

★★★★


春日無線変圧器さんの真空管式ギターアンプのキット・フェンダー・チャンプ 5F1型、Guitar Amp Kit,FENDER "CHAMP-AMP" MODEL 5F1、です。

偶然ネット上でこのキットを見つけたのですが、たまにはちょっと変わったものを作ってみるか‥
ということで手を出しました。

製作してみて特に難しいところはなかったのですが、全く経験の無い方には厳しいと思います。
はんだごてをはじめ基本的な工具は全て揃っていて、それが使いこなせる方でないと完成させることはできません。

初心者の方はトランジスタやICでギターアンプやエフェクターを作ってみて、電子工作の基本が身についてから手を出した方が無難です。

キットの内容ですが、組み立てマニュアルと加工済みシャーシ、パーツ一式が同梱されています。トランスは春日無線変圧器さんのオリジナル、コンデンサの一部は音響用が同梱されています。(簡単なコンパクト・デジカメしか持っていないので画像が不鮮明なのはご容赦ください)



このキットはFender Champ 5F1の回路が基本になっています。トーンコントロールはありません。
構成は極めて単純で部品点数も少ないです。組立説明書のとおりに製作すれば大丈夫です。ゆっくりゆっくり作って3日ほどで完成しました。慣れている人なら1日でできるかもしれません。




綺麗にできていないので恥ずかしいのですが、概ねハンダ付けが終わったところです。
配線はまだ仮止めの状態です。
(下の写真)

ハンダは日本アルミットのKR-19を使いました。拘らない方はふつうのハンダで良いと思います。



ハンダ付けが終わったら、配線を点検して真空管を差し込みます。電源を入れたらマニュアルに従って所定のポイントで電圧を測定します。真空管は高圧の電圧を扱うので感電しないように注意してください。手袋をはめて作業しています。




一応、完成です(下の画像)。ボリュームの文字盤は取り付けていません。

‥シンプル過ぎる??




試運転をすると音にノイズが乗ると思います。そのときはノイズを聴きながらピンセットで配線を動かしてみます。ノイズが止まるところをみつけて固定します。このとき竹など絶縁体のピンセットを使ってください。持っていない場合はショートに注意してください。
(アース母線にタイラップや糸などで固定する・下の画像)



ここまでで終わらせようと思ったのですが、せっかくですから追加でオプションのスピーカーボックスを購入しました。このスピーカーボックスも春日無線変圧器さんのオリジナルです。スピーカーはJENSEN/C8R。サウンドハウスさんから購入しました。


簡単な木工です。材質がMDFなので塗装はしませんでした。
(塗装が難しい)


アンプを乗せるとこんな感じです。
(狭い部屋です。背景がちらかってるのはご容赦ください!)



ここで注意点。アンプを乗せてフルボリュームで音を出すと、シャーシから“チリチリ”という音が聞こえるかもしれません。シャーシを軽く叩いてみるとわかります。

これは真空管のソケットの羽根から出る音です。12AX7の方だったと思います。
これを止めるためにちょっと乱暴なやり方ですが、ソケットにハンダ付けする部品の張力を使いました。

抵抗器の片方の足を精密プライヤで摘みながら、ゆっくりはんだごてでハンダを溶かします。
チリチリ音がしなくなるまで軽くひっぱりながらもう一度ハンダ付けしなおします。これで止まると思います。このとき部品を壊さないように注意してください。自信のない方はやらない方がいいかもしれません。




真空管(小型)ギターアンプの製作に興味を持たれる方がどれほどいるかわかりませんが、ちょっとした道楽として乙なものです。回路が単純ですから部品を交換して改良したり、自作のエフェクターと組み合わせたり、いろいろと遊べます。

バラで部品を集めたり自分でシャーシを加工するのは大変な作業ですので、このキットを利用すればずっと楽に製作できます。ただし、オリジナルで使われている整流管・5Y3GTは使われておらず、ダイオード整流です。そのため完全に同じ回路を踏襲したものではありません。また、同じような内容の完成品が格安で買えますので、製作に興味がなく、5F1型に近いものが欲しい方をそちらを購入されてください。

完成・正面

背面

上部(スカスカで何もないですね‥)

6V6GT(左)と12AX7(右・シールドカバー付)



★★★★

構成:12AX7、6V6GTA、ダイオード整流
出力:3.5W 8Ω

主なパーツ(組み立てマニュアルより)
12AX7、6V6GT(PM製)
入出力ジャック:SWITCHCRAFT 12A
抵抗:Xicon Carbon Composition 1/2W
カップリング・コンデンサー:OnageDrop 715P
出力トランス:KA-54B57T
電源トランス:Km-5F1
(電源平滑用コンデンサや周辺の抵抗は一般品)
シャーシ:1.2mm アルミ製・アルマイト仕上げ

※上記のキットの内容はあくまでも私が購入した分のものです。

以上です。