2017年1月25日水曜日

7MHz ダイレクトコンバージョン受信機 Sparrow40 Type-Eを製作しました

※この投稿の内容は古いです。

CYTECさんのダイレクトコンバージョン受信機(7MHz)のキット、Sparrow40 Type-Eを製作しました。

回路の構成

検波段 2SC1815 ×3
AF段、サレンキーType LPF、VFO発振段、VFOバッファ段 各 2SC1815 ×1
低周波増幅 LM386
VFO バリキャップ 1SV101
動作電圧 DC12V

ゆっくり作って3日ほどで基板は完成しました。通電して一発で動作。

調整はVFOのトリマコンデンサを動かして発振周波数を調整、コイルのT2を動かしてVFOの出力を最大にします。アンテナを接続して実際の信号を受信しながらアンテナコイルのT1を調整、音が大きくなるようにします。※下の画像は完成した基板ですが、一部オリジナルとは違う部品を使っています。



ケースはタカチのYM-150に入れました。ケース加工は得意ではないので、デザイン的に凝ったことはできません。

同調用のボリュームはヘリカルポテンショメータに交換、普通のボリュームより操作性がずっと良くなりました。アンテナとの間に10KΩのボリュームをアッテネータとして追加しましたが、これはなくてもよいです。




受信音が静かです。実際のQSOを受信してみると、なかなかの高感度、周波数も安定しています。聴覚的に気になるようなドリフトはありません。ただし夜になって北京放送がはじまると厳しくなります。※アンテナはモノバンド・バーチカルアンテナを使っています。

残念ながら、このSparrow40 Type-Eのキットは現在販売されていません。一般に、ダイレクトコンバージョン受信機は構成がシンプルで製作が容易です。完成後音を出して鳴らす楽しみもありますから、初心者の方にお勧めです。同じキットは手に入らなくても製作例はいろいろありますから、一度挑戦してみてください。

※受信周波数は、6.998-7.140MHz付近に収まりました。
※2006年7月 購入、2012年7月 キット製作、2017年1月 ケース加工・完成

以上です。

73,all







2017年1月21日土曜日

サトー電気 3.5MHz ダイレクトコンバージョン受信機を製作しました

※紹介されているキットは現在販売されていません。

サトー電気さんの3.5MHzダイレクトコンバージョン受信機キットを製作しました。ネット上で7MHz版を製作された方の投稿をいくつか拝見しましたが、3.5MHz版の投稿は見かけない(?)ようなので投稿にまとめました。構成は7MHz版とほとんど同じです。


★回路の構成

高周波増幅:3SK114 ※ゲイン調整可
周波数変換、局発:NE612
作動増幅、ローパスフィルタ:RC4558
低周波増幅(オーディオアンプ):TA7368P
VFO バリキャップ 1SV101
動作電圧:DC9V

バリキャップと可変抵抗器(ボリューム)で周波数を変化させます。ダイレクトコンバージョンですので中間周波数への変換はありません。高周波増幅のゲインを可変させることができます。

製作で特に難しいところありませんでした。ゆっくり作業して3日で基板は完成しましたが、トロイダルコアに塗った高周波ワニスが固まるのに数日かかりました。通電して一発で動作です。




調整も簡単でした。局発が発振していることを確認したら、周波数を調整します。チューニング用のボリュームを真ん中の位置にして、トリマを調整してバンドの中央くらいになるようにします。L1、L2、L3は調整しても大きな変化を感じなかったのでそのままです。

ケースはタカチのYM-150にしました。ケース加工は得意ではないのでカッコよくできませんでした‥。



3.5MHz用のマイクロバート・アンテナを接続して受信していますが、なかなかの高感度です。周波数も安定していて、気になるようなドリフトはありません。しかし‥チューニング用のボリュームはヘリカル・ポテンショメータにすればよかったです。普通のボリュームでも大丈夫ですが、ヘリカル・ポテンショメータの方が操作性が良くなったはずです。


夜な夜なOMさんたちのQSOが良く聞こえます。ダイレクトコンバージョンは音が軽くて聞きやすいですが、コンディションが良いときにQRMが激しくなると厳しいです。製作が簡単で完成後も受信して楽しめるキットですが、随分前に販売が終了してしまいました。スチロールコンデンサなど今となっては入手が難しい部品が使われているので仕方がありません。

※最終的に受信周波数は3.500~3.575MHz付近に収まりました。
キットの製作 2012年7月、ケース加工、完成 2017年1月

※書籍(保存版 電子工作キット回路図全集 1998年版 マガジンランド)に回路図(部品の定数なし)が掲載されています。

以上です。




















2017年1月2日月曜日

電源用ラインフィルタを製作しました(アマチュア無線のインターフェア対策とノイズ対策・2種類)

※この投稿に“オーディオ”に関する記載はありません。

最近、電源用ラインフィルタを2種類製作したので投稿にまとめました。

1台目はコモンモード用です。いままで安定化電源のAC側には、コモンモードチョークとして、フェライトバー3本をまとめて、それに電源コードを巻いていました。特に問題はなかったのですが、簡単すぎるかな?、ACコードを狭いピッチで巻くのって安全面でちょっと気になる‥など気になる点がありました。

気にしているくらいなら作り直そうと、手軽に作れる製作例を探していたところ、大進無線さんのサイトでクランプ型コアを利用した電源用コモンモードフィルタを見つけました。これを参考にさせていただき、同じようなものを作ってみました。

※大進無線さんのコモンモードチョーク・DCK-SRH(ACコードコモンフィルタKIT)がオリジナルのネタ元です。私が模倣して作ったものなので、完全に同じものになっているのか、わかりません。






使っているクランプ型コアは星和電機のE04SR401938・2個とTDKのZCAT3035-1330・
1個です(下の画像)。

大型のE04SR401938(左右に一個づつある大型コア)は今回はじめて使ってみたのですが、内径が19ミリ、ネジ穴がついているので台座に固定することができます。カタログを見ると巻き数が稼げれば、HF帯でもフィルタに必要なインピーダンスが得られそうです。

TDKのZCATシリーズはノイズ対策をやられたことがある方なら、ご存知かと思います。HF帯では数と巻き数が必要になりますが、VHF以上になるとやや使いやすくなります。

星和の大型コアとTDKのコアを組合わせることで、HF~LowVHFまで使えるんじゃないか‥と期待していますが‥どうだろう。



製作そのものは難しくなく電源コードをクランプさせるだけです。1.25SQのVVF(電源コード)がE04SR401938で6ターン、ZCAT3035-1330で4ターンクランプさせることができました。大型のドーナッツコアで作った方がインピーダンスを稼げそうですが、クランプ型ですとコードを裂く必要もなく製作は簡単です。同じものを2台作りました。



電源はGSV3000を2台使っています。それぞれにHF100W機が1台づつ、他にVUHF機、50MHz用リニアアンプ、周辺機器が繋がります。連続して送信することはまずないので、電流容量としては大丈夫だと思います。※AC100V 12A 見当 コモンモード用



★★★★

製作に使った材料(1台あたり)

星和電機 E04SR401938 (分割フェライトコア) 2個
TDK ZCAT3035-1330 (クランプフィルタ) 1個

電源コード(平形コード):OHM VFF-125-20W (白) 2.2~2.3m使用
電源プラグ、ソケット:パナソニック 4512P
丸型圧着端子

木(板):東急ハンズで売っていたものを少しカット
4ミリのステンレス・タッピングビス
(星和の大型コアには4mmのネジが通る取り付け穴があります)

E04SR401938(カタログ)・星和電機さんのサイトです。
http://www.seiwa.co.jp/product/upload_doc/E04SR.pdf

ZCAT3035-1330(カタログ)・TDKさんのサイトです。
https://product.tdk.com/info/ja/catalog/datasheets/j9a15_zcat.pdf

大進無線さんのコモンモード・チョーク・フィルタ DCFシリーズのページ
https://www.ddd-daishin.co.jp/dcf/dcf.htm


★★★★

2台目はディファレンシャルモードとコモンモード用です。製作というほどのものではありませんが、一応紹介します。

最近アクティブアンテナのノイズ対策をしてみて、電源の大切さを再認識しました。アクティブアンテナにはアンプが実装されていますから、ACアダプタなどの電源そのものが発生するノイズ、そして屋内配線側(コンセント)から流れ込むノイズの影響を受けやすいです。

屋内配線側のノイズ源を探してみると、その一つが同じ室内にあるUPS(無停電電源装置・スイッチング電源)であることがわかりました。UPSのコンセント側と負荷側(PC側)の両方にノイズが流れ出てしまっています。試みに手持ちのACラインフィルタ、NEC/TOKIN TA-2060 (AC125V6A)をコンセント側に入れると、すーとノイズが低減します。※負荷側に入れても効果がありました。

それでUPS(2台)に常時ACラインフィルタを入れることにしたのですが、TA-2060は6Aまでですから、もう少し電流が流せるACラインフィルタが欲しいところです。適当なフィルタを探して部品屋さんに行ったところ、TDKラムダ MZ1216(AC250V 16A)が手に入りました。





※追記:AC100Vのコードがずぼっと抜けないように、グロメットの内側の部分にインシュロックタイ(結束バンド)を巻いて抜けないようにしてください。写真では巻いてません。

本体をむき出しで使うわけにいかないので、アルミのケースに入れました。製作にかかる手間はアルミケースの加工がほとんどで、ご覧のように配線は簡単です。フィルタのグランド(アース)がケースに落ちているので、なんとなくアース端子をIN、OUT両方につけてみましたが‥余計でした。

※金属のケースにそのまま固定したので、たぶん‥Yコンデンサがケースに接続されたことになります。“たぶん”というのは筐体のシールに印刷されている回路図ではわからないからです。地面に接続するアースがない場合、感電の原因になっているかもしれません。フィルタのグランド(アース)をケースに導通させるのかどうかは、各自で判断してください。






このACラインフィルタにどの程度効果があるのか、大雑把な確認法です。BCLラジオでUPSから漏れるノイズを受信します。UPSの電源コードをコンセントから外して、このフィルタを挿入してから再度コンセントにつなげると、フィルタ無しのときよりノイズが低減するのがわかります。このようなテストを4-10MHzでやってみたのですが、まぁまぁ効果がありました。ちなみに当方で使っているUPSのノイズは、7-10MHzあたりで目立ちます(強くなる)。

★★★★

製作で使った材料

TDK ラムダ MZ1216 (AC250V 16A)
※ディファレンシャルモード、コモンモード両用ノイズフィルタ

アルミケース たぶん‥タカチ MB-12 手持ちのものを使いました

ボディコネクタ OHM HS-H15GB
ゴムプラグ OHM HS-H15GP

VCTFK 1.25SQ

グロメット PG-9 2個

圧着端子 丸型 Y型

ゴム足 4個

ネジ 3ミリ、 4ミリ

インシュロック・結束バンド

★★★★

以上、2種類の電源用フィルタを紹介しましたが、必ず効果があるものではありません。

そして‥

どちらも民生用(一般向け)ではありません。アマチュア無線のインターフェア対策、ノイズ対策用として製作したものです。くれぐれも交流100Vの扱いは慎重にしてください。自信のない方は既製品を使った方が無難です。

以上、です。

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★★★★

追記

NASが接続されているUPS用に、もう一台必要になったので、TDK ラムダのACラインフィルタ、ZAC2210-00Uを購入しました。こちらはタッパに入れました。筐体表面の回路図を見ると、キャンセル巻のチョークコイルが直列で2個入っているようです。Yコンデンサのアースは浮かせてあります。こちらは10Aまでですので、NASが接続されているUPS(1台)とコンセントの間に入れました。






追記は以上です。

※更に追記:AC100Vのコードがずぼっと抜けないように、グロメットの内側の部分にインシュロックタイ(結束バンド)を巻いてください。写真のものには巻いてません。




















2017年1月1日日曜日

インターフェア対策としてコモンモードチョークを追加しました

アマチュア無線局を運用する以上、最低限のインターフェア対策をやっておきたいと思いながら、自分がやっている対策はどの程度効果があるのか?‥ちょっと不安になっていました。

そこで、大進無線さんの“RF電流計Ver2”を購入してアンテナや電源まわりのコモンモード電流をチェックしてみました。よく言われるコモンモード電流の可視化です。



これまで、1:アンテナの給電点、2:送受信機のアンテナコネクタの直近、3:電源(AC/DC)まわりの計4か所、周辺機器との接続ケーブルなど基本的な対策は施していました。100W送信(3.5-50MHz)で目立ったインターフェアは確認されないので、コモンモード電流を確認することもありませんでした。

実際にRF電流計で確認すると送受信機のアンテナコネクタの直近では10mA以下に収まっています(校正していないので数値は目安です)。

しかし‥気になっていたアンテナ切替器の各アンテナ側を電流計で確認すると、やはりグランドが共有されている同軸ケーブルどうしでコモンモード電流が流れこんでいます。

具体的に記述すると長くなるので略しますが、例えばバーチカルアンテナ(7MHz)で送信すると、それに近い量の電流が同じ切替器に接続されている同軸ケーブルに流れていました。7MHz 100W送信で70mAくらいです。具体的に何mA以下なら良い、という基準があるわけではありませんが、ちょっと流れ過ぎと感じました。

対策として、グランド側も切り替わるアンテナ切替器を導入する手もありますが、手っ取り早くコモンモードチョーク(コモンモードフィルタ)を切替器の直近に追加することにしました。

今回製作したコモンモードチョークはFT240-43“相当品”に3D-2VをW1JR巻きしたもの3個、5D-2VをW1JR巻きしたもの2個です。コネクタの片側をMJ3X、MJ5Xにしようかと迷いましたが、将来的に機器間の接続にも使えるようにプラグにして、中継コネクタ・M-A-JJの使用することにします。

※アンテナ切替器は2回路1個、3回路1個、計5回路ですからコモンモードチョークは5個必要




5D-2Vを巻いてあるコアにかぶさっている黒いチューブ(下の画像)は、スリット入りの配線カバーです。コアに配線カバーを被せてから巻くというアイデアは、大進無線さんのサイトから頂戴しました。同軸ケーブルに隙間ができて巻やすくなります。



アンテナ切替器の各アンテナ側に製作したコモンモードチョークを挿入したところです。切替器周辺の配線は板に固定して綺麗に整理したいところですが、スペースがありません。これが限界です。ごちゃごちゃしていますが、INとOUTが結合しないように注意しています。

電流を測りながら1個づつ増やして、最終的に5個全部挿入、それぞれを送信しながら測りました。結果を大雑把に説明すると‥100W送信で十数mAから一桁になりました(3.5-50MHz)。まあまあでしょうか。


中継コネクタが宙吊りになってしまいましたが、隣のコネクタと接触しそうな箇所だけ配線チューブを被せました。



★★★★

今回使った資材に関するメモです

・FT240-43相当品 コアの材質が気になる方は正規品を使った方が無難かもしれません。

・フジクラの3D-2V、5D-2V、チョーク1個あたりで使った長さ:

FT240-43相当品(61φ)に3D-2VをW1JR巻き・15ターン、5D-2VをW1JR巻き・8ターン

“あまり”を長めにとるとして、どちらも110cm程度使いました。あとで足りなくならないように、自分は長めに切って作業しています。

・スリット入り配線カバー(スリットチューブ)
10φ(61φコアに被せるもの) エーモン ITEM No.1117 もしくは、ELPA SR-100H
15φ(中継コネクタに被せるもの・もう少し太いものがいい) ELPA SR-150H

・その他、コネクタ類

★★★★

どの程度の対策をするかは状況次第ですが、一応基本的な対策を施しておくと後々問題が出たときに原因の切り分けが楽になるような気がします。面倒といえば面倒ですが、安心料だと思ってます。

73 all

参考URL
大進無線 https://www.ddd-daishin.co.jp/