2017年1月2日月曜日

電源用ラインフィルタを製作しました(アマチュア無線のインターフェア対策とノイズ対策・2種類)

※この投稿に“オーディオ”に関する記載はありません。

最近、電源用ラインフィルタを2種類製作したので投稿にまとめました。

1台目はコモンモード用です。いままで安定化電源のAC側には、コモンモードチョークとして、フェライトバー3本をまとめて、それに電源コードを巻いていました。特に問題はなかったのですが、簡単すぎるかな?、ACコードを狭いピッチで巻くのって安全面でちょっと気になる‥など気になる点がありました。

気にしているくらいなら作り直そうと、手軽に作れる製作例を探していたところ、大進無線さんのサイトでクランプ型コアを利用した電源用コモンモードフィルタを見つけました。これを参考にさせていただき、同じようなものを作ってみました。

※大進無線さんのコモンモードチョーク・DCK-SRH(ACコードコモンフィルタKIT)がオリジナルのネタ元です。私が模倣して作ったものなので、完全に同じものになっているのか、わかりません。






使っているクランプ型コアは星和電機のE04SR401938・2個とTDKのZCAT3035-1330・
1個です(下の画像)。

大型のE04SR401938(左右に一個づつある大型コア)は今回はじめて使ってみたのですが、内径が19ミリ、ネジ穴がついているので台座に固定することができます。カタログを見ると巻き数が稼げれば、HF帯でもフィルタに必要なインピーダンスが得られそうです。

TDKのZCATシリーズはノイズ対策をやられたことがある方なら、ご存知かと思います。HF帯では数と巻き数が必要になりますが、VHF以上になるとやや使いやすくなります。

星和の大型コアとTDKのコアを組合わせることで、HF~LowVHFまで使えるんじゃないか‥と期待していますが‥どうだろう。



製作そのものは難しくなく電源コードをクランプさせるだけです。1.25SQのVVF(電源コード)がE04SR401938で6ターン、ZCAT3035-1330で4ターンクランプさせることができました。大型のドーナッツコアで作った方がインピーダンスを稼げそうですが、クランプ型ですとコードを裂く必要もなく製作は簡単です。同じものを2台作りました。



電源はGSV3000を2台使っています。それぞれにHF100W機が1台づつ、他にVUHF機、50MHz用リニアアンプ、周辺機器が繋がります。連続して送信することはまずないので、電流容量としては大丈夫だと思います。※AC100V 12A 見当 コモンモード用



★★★★

製作に使った材料(1台あたり)

星和電機 E04SR401938 (分割フェライトコア) 2個
TDK ZCAT3035-1330 (クランプフィルタ) 1個

電源コード(平形コード):OHM VFF-125-20W (白) 2.2~2.3m使用
電源プラグ、ソケット:パナソニック 4512P
丸型圧着端子

木(板):東急ハンズで売っていたものを少しカット
4ミリのステンレス・タッピングビス
(星和の大型コアには4mmのネジが通る取り付け穴があります)

E04SR401938(カタログ)・星和電機さんのサイトです。
http://www.seiwa.co.jp/product/upload_doc/E04SR.pdf

ZCAT3035-1330(カタログ)・TDKさんのサイトです。
https://product.tdk.com/info/ja/catalog/datasheets/j9a15_zcat.pdf

大進無線さんのコモンモード・チョーク・フィルタ DCFシリーズのページ
https://www.ddd-daishin.co.jp/dcf/dcf.htm


★★★★

2台目はディファレンシャルモードとコモンモード用です。製作というほどのものではありませんが、一応紹介します。

最近アクティブアンテナのノイズ対策をしてみて、電源の大切さを再認識しました。アクティブアンテナにはアンプが実装されていますから、ACアダプタなどの電源そのものが発生するノイズ、そして屋内配線側(コンセント)から流れ込むノイズの影響を受けやすいです。

屋内配線側のノイズ源を探してみると、その一つが同じ室内にあるUPS(無停電電源装置・スイッチング電源)であることがわかりました。UPSのコンセント側と負荷側(PC側)の両方にノイズが流れ出てしまっています。試みに手持ちのACラインフィルタ、NEC/TOKIN TA-2060 (AC125V6A)をコンセント側に入れると、すーとノイズが低減します。※負荷側に入れても効果がありました。

それでUPS(2台)に常時ACラインフィルタを入れることにしたのですが、TA-2060は6Aまでですから、もう少し電流が流せるACラインフィルタが欲しいところです。適当なフィルタを探して部品屋さんに行ったところ、TDKラムダ MZ1216(AC250V 16A)が手に入りました。





※追記:AC100Vのコードがずぼっと抜けないように、グロメットの内側の部分にインシュロックタイ(結束バンド)を巻いて抜けないようにしてください。写真では巻いてません。

本体をむき出しで使うわけにいかないので、アルミのケースに入れました。製作にかかる手間はアルミケースの加工がほとんどで、ご覧のように配線は簡単です。フィルタのグランド(アース)がケースに落ちているので、なんとなくアース端子をIN、OUT両方につけてみましたが‥余計でした。

※金属のケースにそのまま固定したので、たぶん‥Yコンデンサがケースに接続されたことになります。“たぶん”というのは筐体のシールに印刷されている回路図ではわからないからです。地面に接続するアースがない場合、感電の原因になっているかもしれません。フィルタのグランド(アース)をケースに導通させるのかどうかは、各自で判断してください。






このACラインフィルタにどの程度効果があるのか、大雑把な確認法です。BCLラジオでUPSから漏れるノイズを受信します。UPSの電源コードをコンセントから外して、このフィルタを挿入してから再度コンセントにつなげると、フィルタ無しのときよりノイズが低減するのがわかります。このようなテストを4-10MHzでやってみたのですが、まぁまぁ効果がありました。ちなみに当方で使っているUPSのノイズは、7-10MHzあたりで目立ちます(強くなる)。

★★★★

製作で使った材料

TDK ラムダ MZ1216 (AC250V 16A)
※ディファレンシャルモード、コモンモード両用ノイズフィルタ

アルミケース たぶん‥タカチ MB-12 手持ちのものを使いました

ボディコネクタ OHM HS-H15GB
ゴムプラグ OHM HS-H15GP

VCTFK 1.25SQ

グロメット PG-9 2個

圧着端子 丸型 Y型

ゴム足 4個

ネジ 3ミリ、 4ミリ

インシュロック・結束バンド

★★★★

以上、2種類の電源用フィルタを紹介しましたが、必ず効果があるものではありません。

そして‥

どちらも民生用(一般向け)ではありません。アマチュア無線のインターフェア対策、ノイズ対策用として製作したものです。くれぐれも交流100Vの扱いは慎重にしてください。自信のない方は既製品を使った方が無難です。

以上、です。

73 all

★★★★

追記

NASが接続されているUPS用に、もう一台必要になったので、TDK ラムダのACラインフィルタ、ZAC2210-00Uを購入しました。こちらはタッパに入れました。筐体表面の回路図を見ると、キャンセル巻のチョークコイルが直列で2個入っているようです。Yコンデンサのアースは浮かせてあります。こちらは10Aまでですので、NASが接続されているUPS(1台)とコンセントの間に入れました。






追記は以上です。

※更に追記:AC100Vのコードがずぼっと抜けないように、グロメットの内側の部分にインシュロックタイ(結束バンド)を巻いてください。写真のものには巻いてません。