そこで、大進無線さんの“RF電流計Ver2”を購入してアンテナや電源まわりのコモンモード電流をチェックしてみました。よく言われるコモンモード電流の可視化です。
これまで、1:アンテナの給電点、2:送受信機のアンテナコネクタの直近、3:電源(AC/DC)まわりの計4か所、周辺機器との接続ケーブルなど基本的な対策は施していました。100W送信(3.5-50MHz)で目立ったインターフェアは確認されないので、コモンモード電流を確認することもありませんでした。
実際にRF電流計で確認すると送受信機のアンテナコネクタの直近では10mA以下に収まっています(校正していないので数値は目安です)。
しかし‥気になっていたアンテナ切替器の各アンテナ側を電流計で確認すると、やはりグランドが共有されている同軸ケーブルどうしでコモンモード電流が流れこんでいます。
具体的に記述すると長くなるので略しますが、例えばバーチカルアンテナ(7MHz)で送信すると、それに近い量の電流が同じ切替器に接続されている同軸ケーブルに流れていました。7MHz 100W送信で70mAくらいです。具体的に何mA以下なら良い、という基準があるわけではありませんが、ちょっと流れ過ぎと感じました。
対策として、グランド側も切り替わるアンテナ切替器を導入する手もありますが、手っ取り早くコモンモードチョーク(コモンモードフィルタ)を切替器の直近に追加することにしました。
今回製作したコモンモードチョークはFT240-43“相当品”に3D-2VをW1JR巻きしたもの3個、5D-2VをW1JR巻きしたもの2個です。コネクタの片側をMJ3X、MJ5Xにしようかと迷いましたが、将来的に機器間の接続にも使えるようにプラグにして、中継コネクタ・M-A-JJの使用することにします。
※アンテナ切替器は2回路1個、3回路1個、計5回路ですからコモンモードチョークは5個必要
5D-2Vを巻いてあるコアにかぶさっている黒いチューブ(下の画像)は、スリット入りの配線カバーです。コアに配線カバーを被せてから巻くというアイデアは、大進無線さんのサイトから頂戴しました。同軸ケーブルに隙間ができて巻やすくなります。
アンテナ切替器の各アンテナ側に製作したコモンモードチョークを挿入したところです。切替器周辺の配線は板に固定して綺麗に整理したいところですが、スペースがありません。これが限界です。ごちゃごちゃしていますが、INとOUTが結合しないように注意しています。
電流を測りながら1個づつ増やして、最終的に5個全部挿入、それぞれを送信しながら測りました。結果を大雑把に説明すると‥100W送信で十数mAから一桁になりました(3.5-50MHz)。まあまあでしょうか。
中継コネクタが宙吊りになってしまいましたが、隣のコネクタと接触しそうな箇所だけ配線チューブを被せました。
★★★★
今回使った資材に関するメモです
・FT240-43相当品 コアの材質が気になる方は正規品を使った方が無難かもしれません。
・フジクラの3D-2V、5D-2V、チョーク1個あたりで使った長さ:
FT240-43相当品(61φ)に3D-2VをW1JR巻き・15ターン、5D-2VをW1JR巻き・8ターン
“あまり”を長めにとるとして、どちらも110cm程度使いました。あとで足りなくならないように、自分は長めに切って作業しています。
・スリット入り配線カバー(スリットチューブ)
10φ(61φコアに被せるもの) エーモン ITEM No.1117 もしくは、ELPA SR-100H
15φ(中継コネクタに被せるもの・もう少し太いものがいい) ELPA SR-150H
・その他、コネクタ類
★★★★
どの程度の対策をするかは状況次第ですが、一応基本的な対策を施しておくと後々問題が出たときに原因の切り分けが楽になるような気がします。面倒といえば面倒ですが、安心料だと思ってます。
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参考URL
大進無線 https://www.ddd-daishin.co.jp/