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2018年12月31日月曜日

1球式再生式受信機キット RR-49を作ってみました(中波のみ)

久しぶりの更新になります。タイピングをすると右手が痛むので簡単な投稿です。

CQ出版社の1球式再生式受信機キット RR-49、RegenerativeReceiver RR-49を作ってみました。49はCQ(しーきゅー)にひっかけててるんだろうと思われますが、15W×10D cmの手のひらに乗るコンパクトな真空管式受信機(ラジオ)です。値段がちょっと高いですけれど、たまには真空管式もいいんじゃないかと思ったので紹介します。

自分は完全に半導体の世代ですが、以前に6球スーパーを作ったことがあり、真空管式ラジオも味があって面白いなと思っていました。たまたまwebでキットの発売を知りさっそく注文しました。暮れの21日金曜に届いてさっそく23日に組み立てました。

※ハンダ付け一晩、動作確認と調整一晩、アンテナ設置に半日、仕上げに半日で完成。





部品点数も少ないので組み立て説明書の通りに製作するだけです。説明書はカラー印刷で項目をチェックしながら作業を進めるようになっています。技術的な解説も記載されています。

部品をチェックしいて気づいたのですが、100pFのコンデンサー4個のところ102(1000pF 1KV)が入ってました。容量が違って使えないのでストックしてあったマイカコンデンサー100pFを使いました。400V以上が指定ですからトランジスタ用はNGです。※交換が必要な場合は販売元に連絡してください。


 製作はそのものは特に難しいところはありませんが、説明書の通りにやってうまくいかないときは臨機応変に進めます。組立の行程と回路図、実体配線図をいったりきたりすることになるので別にコピーをとった方がやりやすいかもしれません。自分は大変狭いスペースで作業をしているので、説明書1部だけで“いったりきたり”して組立ました。



ラグ板と真空管ソケットからの配線がGNDに落ちる箇所だけ、シャーシを紙やすりで軽く磨いてネジ止めの際に菊型のワッシャをいれました。念のためにやっただけですので、省いても大丈夫です。


精密プライヤーで部品の足を調整しながら、順番にハンダ付けしていきます。途中で絶縁チューブが不足したので、手持ちのエンパイア・チューブを使いました。


真空管はTELEFUNKEN ECL80/6AB8。3極管と5極管の複合管。





配線は説明書の指示に従ってください。僕の写真では間違えがあるかもしれません。

ネジのサイズも指示に従います。再生バリコンの取り付けは皿ビスの短い方でやらないと羽根にあたって回らなくなります。

通電する前に各所の抵抗値を測りますが、手持ちのデジタルテスターではうまく測れなかったのでアナログテスターで測りました。テスターリードの黒がGND側。

通電後各所の電圧を測るときは手袋をしてください。DC電圧は200V以上かかりますので注意。





一通り作業を終えて電源を入れてみたのですが、音がしません。再生バリコンを右から左へ回すとぶぶぶぶ~とうなりを上げます。それで、配線を点検したらハンダ付けを忘れたところが2か所。それでもシャーシを叩くと唸るのでどこに問題があるのかと思ったら、同調用のバリコンのステータ側からシャーシに落ちる部分の、バリコン側のネジがゆるんでました。これを締めて解決です。

ようやく唸りがとまったので、1メートルほどのビニール線をつけて受信です。が、蚊の鳴くような音しかしません。再生バリコンを左に回すとボッという音がするので、同調バリコンをまわして選局しますが、かろうじて放送波が聞こえるものの再生のビートに負けてしまいます。ケロケロ音です。

バーアンテナ(同調コイルと再生コイルを兼ねる)の両側を指でつまむと、感度アップ。スピーカーから音が聞こえます。


どうやら長いアンテナをつけないとダメなようです。

それで日をあらためてワイヤーアンテナを張り、ベランダの手すりにアースをとりました。敷地が狭いのでワイヤーの全長は7,8m(折り曲げ)、アースは手持ちの薄い銅板でベランダの手すりに容量結合させました。




かなりいい加減なアンテナとアースですが、これでリスニングができるくらいの音が出るようになりました。


再生が強くなりすぎない位置でバーアンテナのコイルの位置を決めて、結束タイで固定。ちなみに再生コイルは簡単にほどけないようになっているので、巻数の調整はしていませ
ん。リンクコイルのホルマル線はバーの下でよじってあります(説明書の通り)。



受信周波数の上限は同調バリコン上のトリマで調整します。トリマをゆるめて容量を抜いていくと上限が上がります。この調整をしないと中波放送帯の上限はカバーしていないかもしれません。(写真では向かって左側のネジ)


そして自分にとっては一番苦手なシール貼りです。前面パネルとシャーシの表面を無水エタノールで拭いて乾かしてから慎重にシールを貼ったのですが‥曇ってしまい透明になりません。クリアなのかと思っていましたが‥。

※アクリルにエタノールを付着させるとひび割れすることがあるそうです。エタノールで拭く場合は手早く、短時間で拭きとってください。心配な方は使わない方がいいかもしれません。




 ムラができるのはこういうシールなのか?、エタノールが残ってた?、シートから剥がした状態で良く観察しなかったのではっきりしませんが、貼り方が悪いのかもしれません。気泡もできてしまい、汚くなってしまいました。大失敗。アクリルの部分のムラは裏側の汚れではありません。あーあ、、(ToT)。

恥をしのんで失敗を公開。スマホやデジカメの液晶画面にシールを貼るのはできるんですけど‥。微妙な凹凸があったかな。


 途中でやりなおそうとしたのですが、粘着力が強くて簡単にはがれないので諦めました。このシールは剥がすと再び貼ることはできませんので注意してください。仕方がないのでPCかテプラでシールで作りなおしたいと思います。(シールには“Power”の文字もあったようなのですが、貼り忘れてしまいました)

結果論ですが‥組み立てたあとからシールを貼るのは難しいので事前に貼って養生して組み立てた方がいいかもしれません。そのときにメンディングテープなどでラインを引き、水平を出すなど工夫が必要です。

組立後シールを貼る場合は、台座を工夫してシャーシをガッチリ固定してから貼ってください。不安定な状態で作業をすると集中できません。

それと前面のパネル、特にスイッチのナットを締めるスパナやレンチは先端を養生テープで覆った方がシャーシに傷がつきません。自分は面倒なのでやりませんでしたが、作業中にシャーシに傷がつきやすいので、できれば養生テープを貼った方がいいです。



 最後にアクリル板で底板を作り、両面テープで貼りつけました。手持ちのアクリル板が1ミリで、久しぶりにアクリルカッターを使ったので上手くカットできずに苦戦しました。ゴム足(シール付き)をつけて完成。


 






完成写真。シール貼りを失敗して綺麗な仕上がりではないのですが、こんな感じになりました。



最後に自分なりにわかった受信のコツです。再生バリコンを右に回し切った状態(無音)から左へまわしていくと、ブッという音がして、さらに左にまわしていくとシャーという音がでます。同調バリコンをまわして選局するとビートがかかった状態で受信できるので、その状態で再生バリコンを右にまわして再生のレベルを落として一番聞きやすい状態にします。ビートが残ったり、音が抜けてしまう場合には、再度同調バリコンと再生バリコンを調整します。

当地ではNHK東京・第一、第二、在京民放、AFNすべて聞こえます。AFN(810kHz)は信号が強すぎて、うまく再生バリコンの調整ができません。それとアースをつけた方が信号の流れが良くなるので、できればあった方がいいですよ。

ボリュームはないので再生バリコンで調整します。スピーカーから出る音は室内で聴くには十分ですが、音質は硬めです。ガツンと聞こえるわけではありませんが、“風流”を楽しむのには丁度いいかも?

このキットは7MHz受信機への変更用パーツがついています。7MHzへの変更には中波用コイル(バーアンテナ)をはずして7MHz用コイル(トロイダルコア)をとりつけます。また、説明書には3.5MHz用コイルの説明も記載されています。

このキットの本来のコンセプトは“黎明期のアマチュア無線の雰囲気を楽しむ”ことのようですので、気が向いたら7MHz用受信機に変更してみたいと思います。

再生検波・電力増幅 6AB8/ECL80
中波用の受信周波数:492kHz~1670kHz
※ディップメーターで測ったおおよその周波数です。
電源電圧:AC100V

以上








2017年1月25日水曜日

7MHz ダイレクトコンバージョン受信機 Sparrow40 Type-Eを製作しました

※この投稿の内容は古いです。

CYTECさんのダイレクトコンバージョン受信機(7MHz)のキット、Sparrow40 Type-Eを製作しました。

回路の構成

検波段 2SC1815 ×3
AF段、サレンキーType LPF、VFO発振段、VFOバッファ段 各 2SC1815 ×1
低周波増幅 LM386
VFO バリキャップ 1SV101
動作電圧 DC12V

ゆっくり作って3日ほどで基板は完成しました。通電して一発で動作。

調整はVFOのトリマコンデンサを動かして発振周波数を調整、コイルのT2を動かしてVFOの出力を最大にします。アンテナを接続して実際の信号を受信しながらアンテナコイルのT1を調整、音が大きくなるようにします。※下の画像は完成した基板ですが、一部オリジナルとは違う部品を使っています。



ケースはタカチのYM-150に入れました。ケース加工は得意ではないので、デザイン的に凝ったことはできません。

同調用のボリュームはヘリカルポテンショメータに交換、普通のボリュームより操作性がずっと良くなりました。アンテナとの間に10KΩのボリュームをアッテネータとして追加しましたが、これはなくてもよいです。




受信音が静かです。実際のQSOを受信してみると、なかなかの高感度、周波数も安定しています。聴覚的に気になるようなドリフトはありません。ただし夜になって北京放送がはじまると厳しくなります。※アンテナはモノバンド・バーチカルアンテナを使っています。

残念ながら、このSparrow40 Type-Eのキットは現在販売されていません。一般に、ダイレクトコンバージョン受信機は構成がシンプルで製作が容易です。完成後音を出して鳴らす楽しみもありますから、初心者の方にお勧めです。同じキットは手に入らなくても製作例はいろいろありますから、一度挑戦してみてください。

※受信周波数は、6.998-7.140MHz付近に収まりました。
※2006年7月 購入、2012年7月 キット製作、2017年1月 ケース加工・完成

以上です。

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2017年1月21日土曜日

サトー電気 3.5MHz ダイレクトコンバージョン受信機を製作しました

※紹介されているキットは現在販売されていません。

サトー電気さんの3.5MHzダイレクトコンバージョン受信機キットを製作しました。ネット上で7MHz版を製作された方の投稿をいくつか拝見しましたが、3.5MHz版の投稿は見かけない(?)ようなので投稿にまとめました。構成は7MHz版とほとんど同じです。


★回路の構成

高周波増幅:3SK114 ※ゲイン調整可
周波数変換、局発:NE612
作動増幅、ローパスフィルタ:RC4558
低周波増幅(オーディオアンプ):TA7368P
VFO バリキャップ 1SV101
動作電圧:DC9V

バリキャップと可変抵抗器(ボリューム)で周波数を変化させます。ダイレクトコンバージョンですので中間周波数への変換はありません。高周波増幅のゲインを可変させることができます。

製作で特に難しいところありませんでした。ゆっくり作業して3日で基板は完成しましたが、トロイダルコアに塗った高周波ワニスが固まるのに数日かかりました。通電して一発で動作です。




調整も簡単でした。局発が発振していることを確認したら、周波数を調整します。チューニング用のボリュームを真ん中の位置にして、トリマを調整してバンドの中央くらいになるようにします。L1、L2、L3は調整しても大きな変化を感じなかったのでそのままです。

ケースはタカチのYM-150にしました。ケース加工は得意ではないのでカッコよくできませんでした‥。



3.5MHz用のマイクロバート・アンテナを接続して受信していますが、なかなかの高感度です。周波数も安定していて、気になるようなドリフトはありません。しかし‥チューニング用のボリュームはヘリカル・ポテンショメータにすればよかったです。普通のボリュームでも大丈夫ですが、ヘリカル・ポテンショメータの方が操作性が良くなったはずです。


夜な夜なOMさんたちのQSOが良く聞こえます。ダイレクトコンバージョンは音が軽くて聞きやすいですが、コンディションが良いときにQRMが激しくなると厳しいです。製作が簡単で完成後も受信して楽しめるキットですが、随分前に販売が終了してしまいました。スチロールコンデンサなど今となっては入手が難しい部品が使われているので仕方がありません。

※最終的に受信周波数は3.500~3.575MHz付近に収まりました。
キットの製作 2012年7月、ケース加工、完成 2017年1月

※書籍(保存版 電子工作キット回路図全集 1998年版 マガジンランド)に回路図(部品の定数なし)が掲載されています。

以上です。