2016年11月12日土曜日

LF-HF帯用スモール・アンテナ/Mini-Whip(コンパチらしい)を設置しました

この記事は諸般の事情で一度非公開にしたものを修正加筆したものです。ここに紹介するのではあくまでもキット版(コンパチ)です。製品版Mini-Whipを評価したわけではありません。内容的にも古いので、その前提で読んでください。最後に遅まきながら追記として実際に使った感想を書きました。

2023/9/2 update

★★★★

PA0RDT Mini-Whipとほぼコンパチらしい、“LF-HF帯用スモール・アンテナ”を設置してみました。

このページをご覧になっている方でしたら、Mini-Whipはご存じかと思います。超小型のアクティブ・アンテナです。そのMini-Whipとコンパチ、“スモール・アンテナ”のパーツ一式(キット)を頂戴して製作したのは2014年11月ころ。屋外に設置する場所がなくて思案しながら時間だけが過ぎてしまいましたが、ようやく実現しました(大袈裟?)。


設置した場所は我が家の屋上、ポールはグラスファイバーです。地上高10mくらいです。



上の画像は内部の基板です。長方形の“プローブ”(探針・左側)で信号を拾い、FETで持ち上げてからトランジスタで受けてインピーダンスを下げています。ローインピーダンスになっているので、同軸ケーブルで受信機につなげることができます。部品点数が少なくハンダ付けさえできれば、組立そのものはとても簡単です。電源の直流は同軸ケーブルに重畳します。





円筒形の筒のなかにアンテナ本体が入っていて、黒い箱が電源を接続する部分です(上の画像)。電源の電圧はDC9V。


デべクランプ(グラス・ファイバー工研)でマストに固定しました。アンテナ本体はとても軽いですからこれで十分でしょう。

屋上には送信に使うアンテナがいくつもあるので、回り込みを防止するためにフェライトバーに同軸ケーブルを巻きました。長さ10cmくらいのフェライトバーを3本まとめてから、8ターン巻きました。バーの本数や巻き数は適当です。1本で十分??

ちなみに同軸ケーブルは秋月電子で購入したBNCコネクタ付のRG58U、中継コネクタで2本つなげて15m。

さっそくIC-706(ゼネカバ受信)でいろいろな周波数を受信してみました。ローカルのAMラジオ放送を受信するには十分なゲインがあります。常にアッテネータを入れておかなくてはなりません。


Mini-Whipに関してはネットに沢山の情報がありますので詳しく書きませんが、超小型にしてはなかなの性能です。SDRでBCLやSWLをはじめた方には、ちょうどういいかもしれません。

尚、アクティブ・アンテナとMini-Whipについては、QEX Japan No.10で詳しく解説されています。実際の製作記事もありますので、興味のある方は参考にされてください。


追記:アクティブ・アンテナの思い出

自分がはじめてアクティブ・アンテナを使ったのは、30年以上前のことだと思います。はじめてのアクティブ・アンテナはマルドルの製品で白い円筒形の筒型をしていました。記憶が定かではありませんが、VHF~UHF用だったと思います。業務用の無線やアマチュアバンド(144/430)の受信に使いました。撤去するときに分解してみると筒の中に沢山のアルミ線(?)が入っていました。広帯域にするためなのか?不思議な構造でしたが何か設計上の根拠があったのでしょう。UHF帯に関してはあまりノイズっぽくならずに聞こえました。

次に購入したのがダイヤモンドの製品でモービルホイップ型、全長1mくらいのLF~UHF用でした。ゲインがやたらと高くてハンディ型広帯域受信機を飽和させてまうので、ゲイン調整のつまみ(電源供給部についてた)を最低に絞って使っていました。これなら自分でも作れると、アルミの棒にトランスとμPC1651などの広帯域アンプを接続して自作してみました。理屈も何も知りませんでしたから、ただノイズを増幅するだけのなんともお粗末なものしかできませんでした。

このスモール・アンテナ(Mini-Whipコンパチ)については、また感想を書くかもしれません。

追記:2023/09/02 update

肝心なことを書くのを忘れていました。このアンテナは使いこなすのが難しいアンテナで、とにかくノイズを良く拾ってしまいました。私の環境が市街地のど真ん中のせいもあったかもしれませんが、金属のマストの近く、ルーフタワーの近く、他のアンテナの近くでは使いものになりません。ハイインピーダンスで高感度の分とても敏感(?)で、少し場所を変えただけでノイズのレベルが大きく変わります。アンテナ片手に屋上を歩きまわって適切な設置場所を探しました。※電源はバッテリ(電池)に限ります。

しかしながら、フィールドに持ち出して電池で駆動させるとノイズレベルが一気に下がり、超小型の割にはまあまあ使えるようになりました。ただし自分が試した限りHFのアマチュアバンドやエアバンドの受信に成功したことがありません(至近距離で送信すれば別)。ラジオ放送のみです。実験をされてOMさんたちはデジタルモードの受信を試みているので、自分のやり方が至らないだけかもしれません。

アクティブアンテナ全般に言えることかもしれませんが、使い勝手は受信する周波数、環境に大きく影響されます。特に初心者の方は、受信専用パッシブ型や共振型とも仕組みが異なることを(自分なりに)理解した上で使った方が無難です。その上で小型であることにメリットがあるとか、あれこれ工夫して使いこなしてやる!の気概があれば楽しめます。

終わり














2016年11月7日月曜日

ちょっと珍しい?サガ電子・アローライン・AL-70FW

この記事は諸般の事情で一度非公開にしましたが、加筆修正して再公開することにしました。内容的に古いのでそのつもりで読んでください。FM局の局名、周波数は当時のままで修正していません。ネタとしては例のアローラインの70MHz版です。コイル付きですのでフルサイズではありません。共振型ですからローカルのFM放送受信用には十分ですが、感度を目一杯上げたハンディ型広帯域受信機では飽和してしまいました(後述)。

2023/9/2 update

★★★★

ちょっと珍しい?70MHz帯のアローライン・AL-70FWを紹介します。FM放送受信用アンテナを探している方に参考になるかと思い、このアンテナでFM放送の受信した結果などを含めて、投稿にまとめました。

このアンテナは20年ほど前に購入して、数か月間、LowVHF(60-70MHz)の受信に使用しました。物置に仕舞っておいたのですが、久しぶりに設置してみました。70MHz帯用ですからFM放送の受信に使えます。周囲に高い建物が増えてFM放送が受信しにくくなってますから、どの程度使えることやら‥。

以下にアンテナ全体と畳んだ状態の画像を掲載しますが、空を背景にして撮影しにくい場所にあるのでわかりにくい部分はご容赦ください(狭い場所で撮影しています)。








附属していた説明書にある規格
型名:AL-70FW
周波数:76-90MHz
垂直偏波 無指向性
全長 1.2m 重量:約300g
同軸ケーブル 5D-2V 20m

アローライン・シリーズは非常に軽いのが特徴ですが、本製品も重さ300gです。1本のラジエター、3本のラジアル、それぞれに延長コイルがついています。ラジアルのロックを外してラジエターを上の方に外すと、簡単に折りたためます。

中心周波数が84MHz帯になるように調整しましたが、工場出荷時は76MHzに調整してあるそうです。必要であればエレメントの長さを調節することになります。

アンテナ・アナライザーで測定してみるとSWRの底が1.2くらい、±1MHzで2.0以下になるようです。受信用ですからそれほど気にする必要はありませんが、受信周波数が中心周波数から大きくずれれば共振状態ではなくなります。

長さ1.2mの短縮型なので利得はダイポール比でマイナス、水平と垂直では20dB差があるとされますから、水平系と比べると不利になります。垂直偏波・無指向性ですから、回析、反射、マルチパスも全て受信してしまいます。ちょうど屋上にラジオを持って上がりロッドアンテナで受信したのと同じ程度でしょうか?

それとアローラインは、ラジアルが通常のブラウン・アンテナ(GP)より斜め下方に広がっていて、輻射パターンはブロードにして水平より下方にも輻射(受信)するのが特徴とされてます。そもそも垂直ダイポールの片側を上げて開閉角をやや狭めてインピーダンスを下げたのか?GPのラジアルを水平から下げてインピーダンスを高くしたのか?、、どちらでもいいか。。

‥ということは、いろいろな方向から到来する電波を受信するには有利かもしれませんが、マルチパスなどによる音質の劣化が気になる方には向かきませんね。

★★★★

以下、FM放送を受信した結果です。チューナーはDENON TU-7.5。シグナルメーターがないので、“全くの主観”で受信状態を評価してみました。東京都の郊外(市街地)で垂直・無指向性のアンテナでもこの程度受信できる、という目安にしてください。

※受信地は東京都町田市の市街地、周囲に高い建物あり、アンテナの地上高約10m、同軸ケーブル5D-2V 20mで引き込み。RFプリアンプ、ブースターは無し。チューナーのアンテナ・インピーダンスは75Ωですが、変換コネクタを介して50Ωの同軸ケーブルをそのまま接続しました。受信に関してはこの程度のインピーダンスの違いは問題ないです。

※受信した内容から局名は確認していますが、周波数の記載に間違えがあるかもしれません。同じ局を受信しようとする場合はご自身で周波数を確認してください。


●とても良い(ステレオで受信してもノイズがなく音がクリア) so strong ! good audio !
TOKYO FM 80.0MHz
J-WAVE 81.3MHz
NHK-FM 東京 82.5MHz
FM Yokohama 84.7MHz

放送大学 ※モノラル 77.1MHz

●良い(ほとんどノイズが気にならず音がクリア) good signal !
bay fm 78.0MHz
FM NACK5 79.5MHz
NHK-FM 横浜 81.9MHz
TOKYO FM 檜原中継局 86.6MHz

●まあまあ良い(時々ノイズが気になることがある) so so...
NHK-FM 千葉 80.7MHz
エフエム さがみ(FM HOT・神奈川県相模原市)83.9MHz

●ステレオではちょっと厳しいかも(モノラルで受信したい)
enough for monophonic

FM YAMATO(神奈川県大和市) 77.7MHz
NHK-FM 水戸 83.2MHz
InterFM 89.7MHz
かずさエフエム(送信所・君津市鹿野山) 83.4MHz

●厳しいけどモノラルなら受信可  - - -
InterFM 横浜中継局 76.5MHz
FM FUJI 三つ峠(山梨県)中継局 78.6MHz
NHK-FM さいたま 85.1MHz
NHK-FM 三つ峠(山梨県)中継局 86.0MHz
J-WAVE 港中継局 88.3MHz

総じて、ローケションが悪いわりには良く受信できたような気がします。無指向性であることが、送信所の方向がわかれている当地では有利になったかもしれません。

しかし、繰り返しになりますが、特段、高性能なアンテナではありません。一部のサイトでは“送信専用”として売られていますが、輻射効率を考えたら‥どうなんだろう??

追記 2023/9/2 update
VR-500(ハンディ型広帯域受信機)に接続してWideFMを受信したところ、ゲインが高すぎて飽和してしまいました。メーター振り切れ、二重三重に聴こえてしまい内臓アッテネータを使ってもダメでした。あの手の受信機は付属アンテナで受信できるように感度を目一杯あげているので仕方ないです。

★★★★

最後に‥いまどきFM放送はインターネットでも配信されてますから、わざわざ受信用アンテナを上げる必要がなくなってます。自分は無線を趣味にしてきたのでアンテナで受信することに拘ってしまいますが、“受信状態が悪いけれどもFM放送を聴きたい”方は、あまり無理をせずインターネット経由での受信を検討された方が無難かもしれません。

高所での作業に伴うリスクや、アンテナ本体、資材の代金を考慮すると、インターネット経由の方が各段に低コストで済みます。

サガ電子さんのAL-70FWのページです。※リンク切れの際はご容赦ください。
http://www.sagant.co.jp/communications/arrow/1266/


★★★★

<参考・このアンテナを設置するのに使った資材>※広告・宣伝ではありません

今回はグラスファイバーのポールをマストに使ってみました。軽いアンテナですから、金属製の太いマストはいらなかったのと、アローラインの下に超小型アクティブアンテナを設置するつもりだったからです。グラスファイバーですがら、電気的な導通がありません。中段にアンテナを取り付けてもマストの影響を受けません。

以下の資材の一式は、グラス・ファイバー工研さんから通販で購入しました。

・SFポールパーツ 50φ 1m グレー (グラスファイバーのポール)
・ポールキャップ 50φ 用(2個1組)
・デべクランプ 54×32φ Mini-Whip(コンパチ用)
・Uブラ UB-1103 2個





アンテナマストをどうやって取り付けるか工夫のしどころですが、今回は屋上にある四角柱の突起物(ステーアンカー)に取り付けました。


アローライン程度の軽いアンテナでしたら、十二分に保持できると思います。 

おしまい。










2016年5月5日木曜日

7,10,14MHz 3バンド・バーチカルアンテナ ミニマルチ V3X

この記事はアクセス数が多かったものの、画像に周囲の建物(屋上・ベランダ等)が写り込んでしまいプライバシーへの配慮の観点から非公開にしていました。プライバシーへの配慮とは「本来地上からは見えないはずのご近所さんの屋上やベランダの様子が見えるのは好ましくないだろう」という判断でした。とはいえ、どなたかの参考になるかもしれません(?)。画像と内容を確認して再度公開します。

このアンテナは2021年に撤去しました。現在当方を尋ねて来られてもお見せすることはできません。アポなし来訪はお断りします。またメーカーさんの閉業が決まり新品は手に入りません。バーチカルアンテナの設置に関する、ちょっとしたヒントくらいに思って読んでください。

2023/9/1 update
以下本文
★★★★

7/10/14MHz 3バンドバーチカルアンテナ ミニマルチV3Xを紹介します。このブログのV40LDXの投稿に続いてバーチカルアンテナを設置、調整する際の参考になればと思います。

※当方はミニマルチアンテナさんの製品をいくつか使っていますが、同社と直接の関係はありません。たまたま自分にとって使い勝手のいい製品があっただけです。


このアンテナは2014年の1月頃から使ってます。そもそもは10MHzか14MHzのフルサイズのバーチカルが欲しくて自作しようかと考えていました。しかし、常設できるようなしっかりしたものを作るとなるとそれなりのコストがかかってしまいます。それで既製品のなかからこの製品を探し出しました。国内でバーチカルアンテナの品揃えがあるメーカーと言えば、ミニマルチアンテナさんになります。

全長が7m近くあるので、全体像がわかる画像がうまく撮れなかったのですが、センターというよりトップに近いところにトラップコイルが入ってます。想像ですが、全体で7MHzの短縮、10MHzでは短縮トップローディング、14MHzがほぼフルサイズで動作するのではないでしょうか?





わかり易い画像が撮れないのですが、V40LDXと同じように特注金具で屋上の隅に設置しました。地上高は10m。※この金具はルーフタワー用のステーアンカーに取り付けてあります。ワカマツ製作所さんの製品。



給電点では同軸ケーブルにフェライトの筒(43 材)とトーナッツ型のコア(FT240-43)を通してしています。コモンモード・チョーク(フロートバラン)としての動作を期待しています。V40LDXと同じで、カウンターポイズ的なものは無くても容量結合で一応アンテナとして動作しますが、同じように取り付けておきました。SWRには関係ありません。詳しくは7MHz・モノバンドバーチカルアンテナ・V40LDXの投稿をご覧ください。※チョークではなくてバランと言わないといけないそうです。


カウンターポイズ“的”なものは、3方向に7,10,14MHzの各バンド用におおよそ1/4λ程度の長さのものをそれぞれ何本か適当に取り付けて3方向に伸ばしています。例によって、(高周波)接地抵抗が低くなるであろうという“心理的な効果”を狙ったものです。V40LDXの場合と同じで建物の鉄骨に取り付けた特注の金具に設置したため、鉄骨に容量結合しています。ですからこのカウンターポイズ的なものがなくても、一応アンテナとして動作はしていました。

指向性をなくしたければ、カウンターポイズは放射状に展開した方いいのでしょうが、何事も与えられた場所でできるだけのことをやるしかありません。(高周波)接地抵抗を低くして輻射効率を上げるのなら“面”にして面積を増やすと良いと言われますが、大きな金属板は大変高価ですし、重量があります。


グラウンドが容量結合のためSWRの底が思いっきり周波数の低い方に引っ張られています。カット&トライでラジエター(エレメント)の長さを1m(!)短くしました。

ところで、このアンテナは3バンドですので、状況によってはラジエターのどの部分を短くするか考えないといません。今回は3バンドとも同じようにSWRの底が100kHz程度ずれていましたので、コイルの下のパイプとパイプのつなぎ目で調節しました。

つなぎ目でエレメント(パイプ)をずらして長さ短くし仮止め、そしてSWRを測定、を繰り返します。長さが決まったらドリルで下穴をあけてタッピング・ビスで留めます。大ざっぱなやり方ですが、このやり方で間に合わせました。

※マルチバンドのアンテナの調整は構造によって調整点が異なります。このアンテナの場合、仮に7MHzだけが周波数の低い方ににずれていたら、コイルの上部のエレメントを短くすることになります。

水平方向にいろいろな建造物がありますから、あまり電波は飛びません。至近距離にルーフタワーもあるので、干渉しているはずです。V40LDXと対角線上にあるので7MHzでは切り替えると相手の信号の強さが変わることがありますが、激変はしません。

★★★★

SWRは各バンド2.5以下に収まってます。
7MHz帯を例にすると一番低いところで1.1@7.140MHz。
同バンドでは主に7.100-7.200MHzで使っています。
SWR1.1は低すぎるので、アマチュア用アンテナアナライザーの誤差でしょう。

★★★★

自分としては、主にラジエターのみを調整することで済むバーチカルアンテナが使いやすいと思っていますが、状況によってはラディアルの調整ができるGP型の方がいいかもしれません。

アンテナの調整は、モノバンドのダイポールや1/4λの接地型(モービルホイップ)など構造が単純なものであればそれほど難しくないと思います。しかし、トラップコイルが採用されているなど構造が複雑なものになると、あちらが立てばこちらが立たず、調節は根気よくやるしかありません。

※工具や安全具、調整用の機器を持っていない方(特に初心者の方)は、業者さんに頼んで設置してもらった方が無難です。

● ミニマルチアンテナ株式会社 V3Xの定格 (使用説明書より)

使用可能周波数: 7,10,14MHz帯のハムバンド
エレメント数:    1
エレメント長:    約7.3m(調整により1m以上短くなってます)
バンド内VSWR:  2以下(最良点1.2)
耐入力:       2kW DC(3kW PEP)
給電点インピーダンス: 50Ω
適合マスト径:    60φ
重量:        約6.0㎏

以上です。

★★★★
追記:2023/9/1
本文では「バーチカルアンテナの調整は簡単である」かのごとく書いてありますが、すべてはコールド(GND)・グラウンド側の処理が決まって、ラジエターの長さで共振点の調節ができるようになってからの話です。市街地でバーチカルアンテナを何基か使って思うのは、(バーチカルは)あまり効率のいいアンテナではありません。給電点から見て水平方向に何らかの障害物がある環境ですから「飛ばない聞こえない」は仕方がないのですが、輻射角の低さやロスの多さが影響してか、国内はまあまあ聞こえても必ず呼び負けします。敷地があれば水平ダイポールと比較してみたいのですが、それは叶いません。

そして何より接地型アンテナはノイズが多いです。構造的にグラウンドループ(アースループ)が出来てしまうので承知の上で使った方がいいです。

V3Xの副産物としては長いアンテナなのでAMラジオ放送が良く聞こえます。コンディションがいいとバンドいっぱいにNHKや民放がぎっしり並びます。BCL向け??

おわり





2016年5月4日水曜日

7MHz モノバンド・バーチカルアンテナ・ミニマルチ V40LDX

この記事はアクセス数が多かったものの、画像に周囲の建物(屋上・ベランダ等)が写り込んでしまい非公開にしていました。画像と内容を確認して再度公開します。一部元記事にあった記述と画像は内容的に古いので削除しました。

このアンテナは2021年に撤去し完全に役割を終えました。最後はスタンドオフ碍子の変色が進み、コイルが入っている筒の下部が欠けて内部が露出していました。長年故障もせず良く頑張ってくれました。メーカーさんの閉業が決まりもはや手に入りませんので、閲覧者の方が追試することはできませんが、バーチカルアンテナの設置に関するちょっとしたヒントくらいに思って読んでください。

※この記事を読んでの来訪はお断りします。「見せて欲しい」「屋上へどうやってアクセスするの?」「どうやって建てるの?」の質問はナシで。

2023/9/2 update
以下本文

★★★★

当方で使っている、7MHzモノバンド・バーチカルアンテナ・ミニマルチ V40LDXの紹介です。建物の屋上にバーチカルアンテナ(接地型)を設置するための参考になるかと思い、実際の設置方法などをまとめました。



このアンテナは2007年2月頃から使ってます。それまでローバンドの運用は諦めていました。敷地が狭いため水平や斜めのダイポール、ツエップ型、ロングワイヤーは張れません。垂直系ならマルチバンドのバーチカルやGPが製品としてあるわけですが、その手のアンテナは調整が難しかったり、使える帯域が狭いので使いにくいアンテナという印象があります。

たまたまミニマルチアンテナさんのwebサイトで、“7MHz”“モノバンド”のバーチカルが製品としてあるのを知り、これなら調整が簡単そうだと購入してみました。



地上高10m位のところに、特注品の金具とマストで設置しました。白い四角柱の部分(ルーフタワー用ステーアンカー)は建物の鉄骨に繋がっています。本来はアルミのルーフタワーにステー線を張るためのものです。※この金具は「ワカマツ製作所」さんで作ってもらいました。

黒いビニル絶縁電線が何本か出ていますが、後からつけたカウンターポイズ“的”なものです(後述)。アンテナのグランド側~マスト~特注金具までは直流的に導通していますが、四角柱とその延長の建物の鉄骨までは導通していません。間に塗装があります。

カウンターポイズなしの状態でも容量結合によって、一応アンテナとしては動作しました。容量結合の場合、グラウンド側に思いっきり引っ張られるらしく、SWRの底がバンド外、低い方に100kHz以上ずれてしまいました。

そこでラジエター(エレメント)の長さを短くしてバンド内に持ちこむことにしました。ラジエターになってるアルミのパイプをずらしては仮止めしてSWRを測定、これを何度も繰り返しました。結果として1m位短くなりました。アンテナ本来の設計上の長さからずいぶん短くなってしまったので、ちょっと心配でしたが‥。






上の画像は給電点の部分。同軸ケーブルに黒い自己融着テープが巻きつけてあるのが見えますが、円筒形のフェライトの筒(43材)と、ドーナッツ型のコア(FT240-43)です。コモンモード・チョーク(フロートバラン?)として動作することを期待して入れてます。効果は不明、おまじないです。

何本か見える黒いワイヤーがカウンターポイズ的なもので、マストにアンテナ本体を固定するU字のボルトに蝶ナットとスプリングワッシャで止めました。ワイヤーの端には圧着端子をつけて導電グリスを塗ってます。

そして下の写真は、カウンターポイズ的なものを屋上の隅に這わせている様子です。この写真では見えませんが左側・屋上中央の方向にも数本まとめて張ってあります。





(内容的に古いので画像と本文をばっさり削除)


● 調整後の周波数とSWRの関係(晴天の日)

7.000MHz 1.1
7.100MHz 1.5

SWR 2.5 以下を許容すれば7.200MHzまで使えます。
主に7.000-7.1000MHzで使用しています。

※アマチュア用のアンテナ・アナライザーでの測定ですので多少の誤差があります。
SWR1.1というのは接地型としては低すぎ?

● ミニマルチアンテナ株式会社 V40LDX 定格(組立説明書から)

使用可能周波数:     7MHz帯ハムバンド
エレメント数:       1
エレメント長:        約8.21m(調整により1m以上短くなった)
バンド内VSWR:      1.3以下
耐入力:          3kW PEP
給電点インピーダンス:    50Ω
マスト径:         60φ
重量:          約4.8kg

※このアンテナは、現在製造販売されていません。後継モデルがあるようです。

●追記
●追記:2
(内容的に古いのでバッサリ削除)

●追記:3 2023/9/2 uppdate
モノバンドで調整もしやすくバーチカルアンテナ入門にちょうどいい製品でした。自作受信機との組み合わせで随分SWLを楽しみました。しかしながら「イマイチ飛ばない聞こえないノイズが多い」で特段効率のいいアンテナとは感じませんでした。バーチカルゆえの輻射角の低さ、ロスの多さ、ロケーションの悪さいろいろな理由があったと思います。時代が変わりFT8での交信が普及したので、今の状況なら違った感想を得たかもしれません。

おわり


2016年4月7日木曜日

真空管式 6球スーパーラジオのキット(GRS-6)

※この投稿は2012年頃の出来事です。真空管ラジオの組立に興味があって、何かきっかけが欲しい方や教材的なキットを探している方の参考になればと思いこの投稿を書きました。残念ながら、現在全く同一の内容のキットは入手が難しいようです。

★★★★

6球スーパーキット(GRS-6・中国製)を作ってみました。記憶が定かではありませんが、2004年か2005年頃、秋葉原の部品屋さんから通販でキットを購入、そのまま放置してありました。簡単な配線図しか同梱されていなかったので製作は半ば諦めていました。2006年頃「こだわりの真空管ラジオ作り」(技術評論社)という本をたまたま購入したところ、ズバリこのキットの製作記事を発見。この発見がなかったら、たぶん手をつけなかったでしょう。


この製作記事によって追加で購入しないといけない部品があることがわかり、秋葉原の国際ラジオさんに部品の調達に伺いました。このときこの本を持参したところ、掲載されている配線図に誤りがあるとのことで、お店のお兄さんが筆を入れてくれました。

その後もしばらく放置が続いたのですが、2012年頃ようやく手をつけました。本格的な真空管ラジオを製作したのはこの時がはじめてです。製作記事のとおりに製作しましたが、ゆっくりゆっくり作ったので完成までに4~5日はかかったと思います。


配線や組立の手順は本の中に詳しく書かれていて、そのとおりに組み立てれば完成させられます。配線の色分けやシールド線の使い方まで内容が濃いです。

それと配線や部品の装着にプリント基板と違う真空管ラジオ独特のテクニックがあることがわかります。また、アース(グラウンド)の取り方が真空管アンプとも違う。 高周波機器とオーディオ機器の違い‥なんてことを考えながら組み立てると面白いです。
              


部品のマウントでいくつかポイントがあるのですが、注意したいのはバリコンの装着です。バリコンはシャーシにゴムブッシングを介してネジ止めします。このネジの締め付け加減で、バリコンのシャフトとバーニアダイヤルの軸と合わせることになるのですが‥ダイヤルの角度によってはうまくシャフトが回ってくれません。

今回は他の部品との兼ね合いであまりスペースもなく、加工も面倒なのでこのままにしました。バリコンの動きは選局の感覚に繋がる大切な部分なので、本当は手を加えてしっかり組立てたいところです。できれば、バリコンはスペーサなどをいれてがっちりシャーシに固定して、延長シャフトとカップラを入れた方がいいと思います。







 手順を踏んで配線を確認、通電したところ一発で動作しました。
通電するまでの確認点なども本に記載されているので、勉強になりました。


アナログ回路で組まれているラジオは、必ずといっていいほど調整の行程があります。この調整次第で本来の性能が引き出せるか決まります。トラッキング調整に続いてIF(中間周波数)の調整ですSGがないのでディップメータで信号を発生させました。IFは調整後475kHzくらいになりました。IFTはHi-Fiタイプが同梱されていましたので、そのまま使ってます。やや発振気味になりましたが、Qダンプはしていません。※詳しくは本文参照。



オリジナルではオーディオアンプとしても使えるようになっていますが、このセットではそのための配線をしていません。一番右側のつまみはロータリースイッチに取り付けただけのダミーです。

感度はまあまあ、デカい音がします。バリコンがうまく回ってくれないので(無理に回せないないこともないのですが)、NHKとAFN専用になってます。ちょっと残念ですがご愛嬌‥とします。

AFボリュームは470kΩ(Aカーブ)のままにしてありますが、ちょっと回すと急にデカい音が出るので手を加えた方がいいかもしれません(可変抵抗器と固定の抵抗器を組み合わせるなど)。音のトーンが調整できますが、ほとんど動かしません。高音は絞って低音を強調して聴いてます。

いまどきなんで真空管ラジオ?と聞かれそうでですが、特別な理由はないです。先ほど勉強になる、テクニックがどうのと書きましたが、ただの道楽です。

★★★★

構成:6BE6,6BA6,12AX7,6AQ5,6E2,6X4
典型的な5球スーパーにマッジクアイが追加されています。
つまり典型的な6球スーパーです。

以上です。



2016年1月10日日曜日

3.5MHz マイクロバートアンテナ MicroVert (追記あり)

肝心なことを書くのを忘れていましたので追記します。マイクロバートのように給電線(具体的には同軸ケーブルなどのフィーダ)から高周波を輻射するアンテナを使う場合には、周囲の人や自分自身と距離を取るようにケーブルを展開してください。また送信電力は十分安全圏に入るように下げましょう。コンパクトなアンテナは便利ですが、目の前から強い高周波が出てたなんてことにならないように。

(使ってはいけないではなくてどこから電波が出ているのか意識しようという話です)

2023/11/10 update

★★★★

諸般の事情で非公開にしていた投稿を再公開することにしました。当初写真を多用したところ、ご近所さんのベランダや屋上が写りこんだ画像が数点ありました。今回は一部削除、修正を加えたものと差し替て公開します。

このアンテナは数年前に撤去して廃棄したため手元にはありません。上げ下げが面倒くさいのでアルミパイプと塩ビパイプの隙間を防水処理しなかったところ、雨水が入り込んでビスを腐食させてしまいました。給電点の圧着端子とビス、ボルトもコーティングをしなかったので緩みやすく腐食も進んでしまいました。撤去後廃棄するために分解しようとしたところボルトが錆びて緩まないので、ラジエターをディスクグラインダーでカットするはめになりました。

ビス、ナット、ボルトはステンレス製に交換するべきでしたが、ステン製は小分けしたものが手に入りにくいです(ちょうどいいサイズのがあるようでない)。いくつかのホームセンターや道具屋さんを探せばあったのでしょうが面倒になってしまいついつい放置してしまいました。メーカー製のアンテナには多めにステンレスの部品が入っることがあるので、それらを保管しておいて使うといいかもしれません。

コモンモード・フィルタ(チョーク)はタカチのプラスチックケースにいれましたが、塩ビパイプに入れて防滴防水にするか市販品で防水構造のものを使った方が無難です。雨ざらしになる場所にビニール袋に入れた程度では水が沁み込んできてコネクターやケーブルを腐食させます。時々袋から取り出して乾かすのも面倒です。

自作品ですから完璧さを求める必用はありませんが、長期的に使うとなるといろいろ課題が出てきます。「ぶっ壊れたらそれまで」「見た目は関係ない」「そもそも自作品」という考え方もありますが、耐久性や解体のことを考えると丁寧に仕上げるに越したことはありません。

尚、本文に書いてありますが3.5MHz帯(JAの80kHz)はSWR3.0以下でカバーできたのと、ローケーションの悪いバルコニーに設置した割にはまあまあ使えました。フルサイズダイポールと比べるものではありませんが、限られた場所でローバンドをやりたい方にとっては一応使えるアンテナだと思います。

変形コブラアンテナ、片側パイプ(コンデンサ)・コイルの直列共振回路の変形垂直ダイポール…いくつものアイデアを融合させた面白いアンテナでした。

update 2023/9/3

以下本文

★★★★

(この投稿の内容は2013年12月頃の出来事です)

3.5MHz用のマイクロバートアンテナを作ってみました。調整や設置の参考になればと思い、投稿にまとめました。寸法などは各局のサイトを参考にしています。



まずコモンモード・フィルタ(チョーク)を作りました。FT240-43相当品に3.5D-QEVをW1JR巻きにして2個直列です。2個のコアは密着しない方がいいのですが、細かいところは目をつぶってください。タカチのケースに入れましたが防水ではありません。中継コネクタを取り付けたのは脱着しやすくするためです。※通常コアは1個で大丈夫です。








今回1φのホルマル線は1㎏まとめ買いしましたが、生涯使い切ることはないでしょう。。

塩ビパイプにコイルを巻きますが、軽く張力をかけるだけで解けることはありませんでした。自己融着テープで仮止め。LCRブリッジでインダクタンスを測り巻き数を調整します。多めに巻いてカットすると良いです。

画像ではデリカ(三田無線)のミニブリッジ・M-1Dを使ってインダクタンスを測ってます。廉価なもので良いのでLメーターはあった方がいいです。


ラジエターは径の違う2本のアルミパイプで作りました。つなぎ目に割りを入れてホースバンドで止めます。画像では割りを入れ過ぎてます。


給電点です。同軸ケーブルをエポキシのパテで固定、防水を兼ねてます。圧着端子には導電グリスを塗りました。巻き数が決まったらコイル全体に自己融着テープを巻きます。











仮設です(下の画像)。マストはAmazon.co.jpで買ったステンレスの伸縮する物干し竿です。画像ではわかりにくいですがグラス・ファイバー工研さんの“Uブラ”で手すりにがっちり留めました。アンテナのマストへの固定も“Uブラ”です。(竿が伸縮するのでアンテナのテスト用に良いです)

(画像1枚削除)

このアンテナの調整のポイントですが、まずSWRを計測しながら同軸ケーブルの引き回しを決めてしまいます。給電点から床まで角度を決めて、その後ケーブルの引き回しを工夫しながらSWRが最低(底)になるようにします。

SWRが最低になったらラジエターの長さを上下させて、希望する周波数に合わせます。SWRの最低点がオフバンドになる可能性がありますから、アンテナアナライザーが必要です。またこの作業でSWRの最低点を見つけられないとなると、その場所への設置は無理かもしれません。





上の画像はすぐ脇の屋上から撮影したもの。ケーブルをコンクリートブロックで挟んで固定しています。マイクロバートアンテナでは同軸ケーブルがカウンターポイズのような役割をしていて、思いっきり電流が流れます。雨で床が濡れてしまうとSWRが大きく変化して使えなくなるのでコンクリートブロックで挟むことで床から浮かせています。

試みに同軸ケーブルをベランダの手すりに吊してみましたが、手すりと結合して電気的な長さが変わってしまうのでアンテナとして動作しなくなってしまいました。また雪で同軸ケーブルが埋もれると使えなくなります。



本当は宙に浮いた方が雨や雪の影響を受けにくいのですが、このやり方で妥協です。


下の画像はコモンモード・フィルターの部分です。大きなビニール袋で包んでコンクリートブロックで挟みました。完全な露天なので時々点検しないと水が入っていることがあります。





運用できる状態にしたものです(下の画像)


(画像1枚削除)

画像ではわかりにくいですが、斜めに引いた同軸ケーブルの“角度”が調整のポイントです。
角度によってインピーダンスとSWRが大きく変化します。



SWRが一番低いところ(底)で1.5くらいになりました。SWRが2以下の帯域が50kHzくらい。バンドの中心にSWRの底を持ってくると上下のバンドエッジで3以上になりますので、その付近ではアンテナチューナーで落として使うことになります。自分の場合は3.530MHzくらいにSWRの底を持ってきました。

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繰り返しになりますが、同軸ケーブルの引き回を調節してSWRが落ちないとなるとその場所に設置するのは厳しいです。できれば同軸ケーブル全体をまっすぐに、周囲の開けているところで展開したいものです。同軸ケーブルの角度や引き回しで輻射角も変わってくる‥はずです。

コンパクトなアンテナとしてマイクロバートに期待される方が多いと思いますが、同軸ケーブルの引き回しまで入れると“超小型アンテナ”とは言えません。

フルサイズと比べるものではありませんが、モービルホイップに比べたらずっと使いやすいですから3.5MHz帯の体験用にはいいかもしれませんね。

画像では実感できないかもしれませんが、当方のロケーションは非常に悪くてこのアンテナそのものはビルの谷間に設置してあります。一応国内QSOはできていますが、熱心にやっていないので報告できるような実績はありません。ロケーション次第では良い成績がでるのかも。

手持ちの資材がなかったので新規に買い集めました。マストも含めると3万円以上かかったと思います。資材が手元にあれば安上がりにできると思います。

以上です。

追記

しばらくアンテナまわりの点検をしないでいたら、屋外に出しておいたコモンモード・フィルタに被せてあったビニール袋が腐食して破れてしまい、ケースが雨ざらしになっていました。中が水浸しだったらマズイなと思いつつ分解しました。コネクタに水が入って同軸ケーブルを腐食させてしまうと切断して作り直しになってしまいます。





コネクタのネジがさび付いてましたが、内側はうっすらと水滴がつく位で済みました。コモンモード・フィルターを屋外に出さなければならないときは、防水のケースに入れてしっかり作った方が良いです。※防水の市販品を使った方が楽。

おしまい。