2023年11月20日月曜日

ミニマルチアンテナ V4XH 建立ならず断念

 2年前に購入して設置するタイミングを見計らっていたミニマルチアンテナのV4XH・バーチカルアンテナ。昨日の午後気温が上がり無風のタイミングで作業にかかりましたが、結論から言うと失敗、設営は断念しました。




今回の作業には大前提があってすべて「1人でこなす」ということです。もはや手伝ってくれる人はいません。これからは1人で構築して1人で管理して撤去も自分1人でできるもの、1人でできないものは諦める…そう決めました。









バーチカルアンテナですから組立は簡単、1時間もかかりません。バルコニーに部品を並べ開始です。何回も組み立てたミニマルチさんのアンテナですから説明書をざっと見て給電部側の太いエレメントから接続してねじ止めをするだけです。仮組が終わったら各部の寸法を確認。よっこいしょと手すりに立てかけ、さらに屋上のふちに立てかけたときのことです。

重い!

重いだけではなくてぶっといトラップコイル2個がエレメントの中段から上に接続されているのでトップヘビー、最下部のエレメント周辺にかかるモーメントが半端ないです。ゆらゆら、ゆらゆら。この時点で嫌な予感が…。


全長6m、重さ6kg、トラップコイル2個をあまく見ていたわけではありませんが、想像した以上の重量感です。バルコニーから3m高い屋上に上ってヨイショヨイショと引き上げました。さーて問題はどうやって全長1mのマスト60φに取り付けるか。マストは既にステーアンカーにごっつい金具で固定してあります。


※↑上の写真は古いです。今回は撮り忘れた。マストの長さ1mです。


これまでV40LDX、V3Xと全長8mクラスのバーチカルを使ってきました。V3Xは1人で上げたので、Uボルトの幅だけ調整しておいてせーの!で持ち上げてストンとマストに落としこみました。その成功体験があったのでV4XDも1人でいけるでしょと高を括っていた。

V3Xより2m近く短いものの重量は2kgほど重いです。それにV3Xはコイルがひとつ、こちらは2つ、ゆらゆら感がだいぶ違う。


無風になったタイミングで意を決してせーの!!でV4XHを持ち上げます。マストに沿わせてボルトにひっかけ、せーの!せーの!!。が、1mのマストの上部まで給電部Cチャンネルの底辺が上がらない。


ゆらゆらぐらぐら……ゆらゆらぐらぐら……腰を落としてなんとか勢いで試みますがダメ。あと30cmいや20cm!。11月下旬だというのにやけに西日が強く感じられる。全身に汗が滲んでくる。


ダメだ、支えられない、上がらない。

最後の20cmが上がらない。


一息ついて作戦変更。一度バルコニーまで下して最下部のCチャンネルが繋がってる最下部のエレメントを外して、その部分だけマストに接続。そこから上のエレメントを持ち上げて最下部のパイプ(エレメント)に落とし込むという強引な作戦です。V4XHの給電部Cチャンネルはかなりの肉厚で強化版らしく重量がありますから、その分だけ負担が軽くなるだろうという算段です。この時点で頭が沸いてる。


決める!決めてやる!とばかりに残りのエレメントを屋上に引き上げますが、まだかなりの重量があります。意を決してせーの!とやろうとしますが、かえって難易度が上がってしまった。内径40mm(推定)くらいのパイプに全長5m以上あるパイプが落とし込めるわけがない。


無理無理、絶対無理、これは諦め。


できないとわかった瞬間、断念を決めました。仮にマストへの取り付けが成功したとしても、エレメント全体の長さの調整や仕上げの工程があるため何度か上げ下げしないといけません。各バンドでSWRが実用域に入ればそこで位置決め、下穴を開け直してタッピングビスで固定、結合部やビスの上に自己融着テープを巻き防水、テナコートを塗って完成です。


つまりこの先がまだまだあるのであって、勢いでマストに落とし込めても先が思いやられる。1人でやる以上このアンテナは諦めるしかない。


たぶんもう一人助っ人がいたらなんとかなるでしょう。これまでアンテナの構築は家族や親せきに手伝ってもらいました。ルーフタワーの建設もそれでできた。でも一昨年全撤去したときに、今後は1人で設置してメンテできる範囲に留めると決めた。


★★★★

一夜明けて高齢の同居人が「様子だけ見たい」とバルコニーにやってきました。V4XHを持ち上げるなり

「こりゃ重い。こんなに(根元に)力がかかるんじゃ、いつか強風でマストが負ける。ステーロープが必要なくらい。諦めろ。」

まあ、そうだよな。




今後のことは、ちょっと頭を冷やして考えます。これから気温が下がるので年内から来年春までは屋外の作業はできません。HF再開は遠のくばかり。

それと今日の作業で自分の腕力や握力が落ちてのを実感しました。漠然と無線ができるのもあと10年くらいと考えていましたが、アンテナが上げられないのでは仕方ない、早々に店じまいするかも。


★V4XH定格(組立説明書より)

使用可能周波数 7,10,14,21,28MHz ハムバンド

エレメント数 1

エレメント長 5.92m

バンド内VSWR 1.5 以下

耐入力 3KW PEP

給電点インピーダンス 50オーム

適合マスト口径 60mmφ

重量 約 6kg

※ミニマルチアンテナさんが廃業されて残念です。

同社から何基もアンテナを買いましたが、アルミが肉厚で強度的に信頼感がありました。

最後に買ったこのアンテナは記念に手元に残します。


★高所での作業や安全性について

僕がいうまでもありませんが、高所での作業は大変な危険がつきまといます。

この投稿では敢えて読める内容にしましたが、一歩間違えると事故につながります。自分だけでなく人も巻き込む。無線をやってるとアンテナには強い拘りがでてきますが、諸兄におかれましてはくれぐれも無理な作業をなさらぬように。



※2023年11月20日、作業終了後に撮影した写真。先週仮設した50MHzデルタループ(同軸の重みでちょっと傾いてる)と飛行機雲と月。50MHzはたまにFT8の信号が聞こえるだけで他入感無し。


2023年11月18日土曜日

「移動する局」の再免許申請 期限が過ぎていた

以下、久しぶりの投稿です。

暇ネタであり愚痴であり嘆きであり諦観であります。


3年近いブランクを経て、そろそろアマチュア無線を再開しようと準備をしていました。アンテナを再構築すべく資材を購入したものの金額ばかり嵩んで作業は一行に進まない。いろんな事情が重なり進まないのですが、もう無線は潮時かなと思わせる出来事が発生しました。

一昨日溜まったダイレクトメール(郵便物)を整理していたら、総務省からのハガキがポロリと出てきました。「アマチュア無線局の免許の有効期間満了のご案内」です。中を開くと「移動する局」の再免許申請の提出期限が一週間前に過ぎています。

実は再免許の時期は漠然と気になっていました。それだけではなく保証願を出さないといけない自作機も溜まっているので「変更申請(届)」「保証願」の書類をいつ作成するかは、度々意識しながらも気が重くて先送りにしていました。更に技適機で購入したいものがあって、変更申請のタイミングと合わせて購入しようと計画していたので頭の中がごちゃごちゃに。

更に更に電波防護指針の適用が厳格になってるとの情報が入り、「移動しない局」の確認書を要請されたらすぐに提出できるように書類を作成中でした。例の計算書は出来上がり平面図と立体図を残すのみ。気が早いかもしれませんが、改めて確認しておくに越したことはない。

しかーし「移動する局」の免許の期限は漠然と来年あたりだろうと思い込んでいました。完全な思い込みです。自分は事実上4つのアマチュア局を管理していて、その一つ一つに再免許や変更申請や保証やらが関係しています。過去の申請書類は台帳にまとめていますが、免許一つ一つの詳細な内容は台帳と免許状を見直さないと忘れてしまいます。でも、期限を確認しなかった自分に落ち度があるわけで、あらためて「移動する局」の開局申請をすることにしました。

「今時は電子申請・届け出システム Liteがデフォ」とのことで、さっそくアカウントを作成したら、本人確認の郵便物を受け取らなくてはいけません。1週間が目途だそうですが待ってられないと思い、申請書類をダウンロードして印刷、手慣れた手書きで申請することにしました。

書類一式の作成は40分程度で完了。さっさと開局申請を済ませたかったので、技適機のみで工事設計書を作成しました。一応前の局免許の免許番号、その有効期限と失効する旨を記載したメモを作成、送付用の封筒に宛名を書き、ストックしてあった「書留・特定記録郵便物等差出票」に必要事項を記入、返信用の封筒に宛名を書いて切手を貼り、申請書類一式の各項目に目を通して(通したはず…)、電波利用料前納にチェックを入れたことも確認しました。


完璧かつ楽勝…のはずだった。


ここまでが一昨日の出来事で、昨日の午後雨が上がったタイミングでコンビニに行き申請書類一式のコピーを取り、次に郵便局に出向いて収入印紙(50W以下4,300円)を購入、丁寧に丁寧に開局申請に貼り付けて改めて記入事項を確認して(したはず)三つ折りにして、返信用封筒も折り目が綺麗になるように折りたたんで、もちろん別途作成したメモも添付して、クラフト封筒長3に入れて蓋を糊付けしてから封に〆(✖印)を書き込んで窓口から簡易書留で発送しました。

毎回毎回この過程が甚だ億劫ですが、完了するとちょっとした達成感を感じることができます。が…その達成感はいとも簡単に打ち砕かれる。

帰宅してコピーになんとなく目を通すと「無線局免許(開局)申請書」の「氏名(個人局)又は名称及び代表者氏名(社団局)」が未記入です。つまり自分の名前が書いてない。


なーんてこった!!

肝心なものが抜けてた。。


いやはや、この瞬間「移動する局」の再開は諦めるだけでなく、アマチュア無線そのものを辞めた方がいいのではと本気で思った。「その程度のことで」と言われるかもしれませんが、自分にとって全てが面倒くさくて、

もはや集中力が維持できない。

そうはいっても発送したものを中途半端にしておくことはできません。関東総通に電話して事情を話すして指示を仰ぐと、「書類を確認してからの対応で不備があれば差し戻しになる」と至極当たり前の返答でした。「無線局事項書及び工事設計書」には氏名が記入してあるのですが、「無線局免許(開局)申請書」の方が未記入ですから差し戻されても仕方がない。

言い訳になりますが、以前の開局(再免許)申請書の書式はいかにも「申請書」といった体裁で、中央にタイトル、宛名があり、申請者の住所氏名を記入する欄があり、代筆の場合は押印、直筆の場合は押印無しでした。だからその部分を未記入にすることはまずない。でも、いまの書式はがらっと変わって電子申請が前提のシンプルなものになってます。でも、抜けてしまった。

「いつの時代の話をしてる?」「要領が悪すぎる!」「なんとか申請やナントカ事項なんてPCで作成」「電子申請一択!」…自分は「そういうすべてが面倒くさくて」とにかく手書きでやってきました。それと今回関東総通のサイトからダウンロードした書式(PDF)にはちゃんとサンプルもついていたのですが、自分が申請書類だけ印刷しサンプルはPCで表示してそれを参照したのが良くなかった。

なぜかというと、PCでスクロールしながら作業するとしっかり読んでいるようで読んでない。「慣れ」「集中力」と言われるかもしれませんが、自分は同じような体裁の文書や図面が続くとスクロールしているうちに、高確率で読み飛ばすことがあるのです。大したページ数もなければ、情報量がなくても読み飛ばすし頭に入っているようで入ってない。

先日はんだ付けして作った無線関連のキットもそうで、回路図だけ印刷、タブレットで組立説明書を表示して作業していたら途中で工程を飛ばしてしまった。表示されてる画像と手元にある基板の様子に相違が出たため、何ページも戻って手順を確認するはめになった。


紙、紙、紙、

読め、読め、読め、

書け、書け、書け、

人間はそれで出来上がると叩きこまれた世代だから、

今更変えられない。


敢えて意義は問わない。

疑問に思ってはいけない。

そういう決まりだからやるだけ。

いやなら辞めろ。














2023年5月16日火曜日

自宅への突然の来訪、及び無断撮影とSNSへの投稿はお断りします

 突然、玄関先までやってきて「アマチュア無線をやっている方ですか?」と話しかけてきたり、インターホンのボタンを押して呼び出そうとする方がいます。昨今の治安状況を鑑み、このようなアポ無しの来訪は一切お断りします。


 また、当方の自宅を撮影し「〇〇局の自宅」などとコメントをつけてSNSに投稿されたことがあります。この投稿を現在見ることはできませんが、意図がわからず気分がいいものではありません。無断でやられてしまえばそれまでですが、当方の意思としてはやめていただきたい。


 アマチュア無線は広く開かれた世界であるべきだと考えますが、同時に個人と個人が関わり合う以上お互いを尊重しなければなりません。時代の変化が激しく、かつての慣例が今に通用するわけではありません。何十年も前なら突然の来訪も許され、初めて会った相手を家に上げることがあったのかもしれません。残念ながら今はそういう時代ではありません。


 なお、2023年5月現在アマチュア無線の運用はお休みしています。アンテナも上げていません。そのうち気が向いたら再開します。


>>ALL

JM1INP






2021年6月9日水曜日

アンテナ・ルーフタワーの撤去・解体、無事完了

4月初旬、自宅の改修工事を機会に屋上のルーフタワーとアンテナを撤去しました。

当初、改修工事(外装)は来年を予定していましたが、去年からのコロナ禍で職人さんを集めて行う改修工事がスムーズできるかわからなくなりました。よって今年の前半に前倒しすることになったのですが、屋上の防水シートに新しいシートを重ねるために一度すべてのアンテナを撤去する必要がありました。

バーチカルアンテナなどは自分で撤去できてもルーフタワーと乗せてあるアンテナの撤去が最大の課題です。建てる時は家族や知人に手伝ってもらいましたが、今回は自分でなんとかしなければなりません。上げるときは勢いでやってしまいますが、撤去というのは気がすすまず何もかもが億劫になります。

体力的な限界もあり自力は無理と判断して専門業者さんに問い合わせましたが、なかなか調整がつきません。結局改修工事をお願いした業者さんに解体してもらいました。

ルーフタワーは長年使ったもののまだまだ使える状態、ローテーターも数年しか使ってなかったのですが、再利用しようとすると一つ一つバラすことになり大変手間がかかります。

作業をするのは専門業者さんではないので「綺麗に外す」ということはできませんし、足場に上って自分が指示を出すことはできません(原則足場は立入禁止)。よって全撤去(解体)してもらいました。

一体どんな風に撤去するのかと思ったら、男性二人が屋上に上って一人がディスクグラインダーでアンテナを切断、一人が下で受け取るというやり方です。地上からは一部の作業しか見えなかったの見学は諦めましたが、半日で綺麗に片付きました。

なんと、最近のディスクグラインダーはバッテリー式なんですね。自分が十数年前に買った機種は電源コード付きですから随分便利になったものです。アルミのブームなんてマストに取り付けたまま簡単に切断してしまいました。

ところで撤去したルーフタワーはマルドル製の5.7mのもので、建て替え前から35年くらい使ったと思います。しっかりした作りで目立った腐食もなく最後まで無事故で済みました。とにかく建物から飛び出さないように、小型のビームアンテナを乗せたのが良かったのかもしれません。

敷地の関係で思うようにアンテナを選べませんでしたが、最後まで無事故だったのが一番の成果です。家族やご近所さんの理解と協力があってここまで無線を継続できたことに感謝です。




※写真はバラした資材の一部。地上に下してまとめてしまうと思ったほど量はありませんでした。長くて重かったのはマスト。重くてかさばったのは自分で下したケーブル類の束。改修工事で出たゴミ類と一緒に業者さんに引き取ってもらいました。


2019年1月16日水曜日

Amazonで売ってるRFプリアンプを自作ケースにいれて‥失敗談


この投稿は初心者の方向けの内容です。
こんな風にやってはダメよという失敗例として読んでください。
内容的には古いです。
2023/9/2 update
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アマゾンで売られている中華RFプリアンプ、ご存知の方も多いと思います。商品名は“HiLetgo 0.1-2000MHz RF 広帯域アンプ 30dB(デシベル) ハイゲインモジュール”とされていますが、MMICはINA-02186のようです。とにかく安いですよね。

受信用のプリアンプなど、いろいろな用途が思い浮かびますが、基板のままというわけにもいきません。他の方々のブログにもありますが、このアンプ、ゲインが高く発振しやすいようです。自分もケースに入れて使えるようにしてみたのですが‥、いい加減にやったら手こずってしまいました。以下、“ちょっとお粗末な”顛末です。
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このプリアンプは個体によって不良の場合があるらしいので、まずは簡単に動作チェックをしました。

ケースは久しぶりに生基板で作ってみました。わざわざケースを作る必要はないのですが、まとめ買いした生基板が目についたので練習を兼ねて作ることに。もちろん市販されているアルミのケースの方が楽です。

ケースに入れるときBNCを使いたいのでSMAコネクターを外してしまったのですが、これが後々不具合の原因になります。下の写真を見るとわかると思いますが、SMAを外すときに自動はんだ吸い取り器を当てたら一部パターンが剥がれてしまいました。フラックスが飛び散り基板が汚れるし‥(ToT)。はんだを盛ってやればよかったかな。


基板の取り付けは四隅に金属スペーサーを取り付け、そのスペーサーを半田付けしました。スペーサーは基板に瞬間接着剤で止めてから半田付けしました。同じようにやる場合はガスが発生するので注意。

なんか見た目が良くないですが‥


一通り配線が終わって通電すると006Pの電池が熱くなります。どこかがショートしています。ルーペで見ると、Vcc直近のチップコンデンサに飛び散ったはんだが付着してショート
していました。テストの度に配線を外していたので、そのときに付着したようです。


基板に使われてるはんだの融点が高いので、鏝でやや高熱をかけていました。そのためフラックスで基板が汚れてしまうし、はんだは飛び散るし‥。チップコンデンサーを無傷で外すことはできないので、手持ちのものと交換しました。値は104。下の写真は作業の途中ですが「良くない見本」です。コネクタのhotもcoldも基板に直結にしたいところです。そもそもパターンがSMAなのにそれを外してBNCに拘ったのが間違え。


はじめにケースに入れたときはパターンをショートさせたくないので、コネクターのGND(cold)をケースの底にスズメッキ線で落としました(この雑な配線が不具合の原因に)。配線を終えてハンディ型の広帯域受信機でテストです。

はじめホイップアンテナをつけたときは問題なかったのですが、屋外のGPを着けたときに異常が出ました。

433MHz帯のFMを受信していると、信号のレベルが上がりSメーターが振り切れますが、音がブツブツ途切れることがあります。20dBのアッテネータを入れるとちょうどよくなります。

発振気味ですが、ハンディ機が高感度なのでこんなものかと思って一度はケースに蓋をしてしまいました。ネジ穴止めではなく半田付けです。カッコ悪い??デカい??



でも、やっぱりオカシイ。144MHzのホイップをつけただけで、深くかけたスケルチが開いてぶぶぶぶぶ~と音がでます。完全に発振しています。仕方がないのではんだを全て吸い取って蓋をあけ、配線をやり直しました。なんてこった!

BNCコネクターのGND側をケースの底を落とすのではなく、最短で基板に結線するようにラグ端子を使って工夫してみました。直にパターンにはんだ付けするべきですが無理に無理の重ねて、、リングが届かないしデカすぎる。一応電源のジャックの直近に104の積セラを追加です。


(恥をしのんで最終版の写真。なんだかなぁ、コネクターとの結線が長くなってしまいVHFまでということで‥。コネクターについている黄色いものは、ゆるみ防止の接着剤です。)

やっぱり?、in、outはSMAコネクターのまま使った方がいいです。Amazonでコネクター付ケーブルを売ってますから、途中でカットしてストリップして配線してください。適当に配線するとパターンの寸法が変わってしまい、インピーダンスが狂ってしまいます。GNDへの接続が中途半端だと信号がループして発振の原因になります。基板はガッチりケースに接続して電位を安定させましょう。

GNDは最短で‥基本でありました。
┐(´д`)┌ヤレヤレ

ようやくぶぶぶぶ~が消えました。ちょうど433MHzで埼玉県内の移動局が綺麗に聞こえました。このままGPに繋ぎかえてもメーター振り切れ、ぶぶぶぶ~もありません。



なんだか随分と大回りをしてしまいました。
でも、動作が安定してからは快適に受信できています。

市販されている受信用プリアンプはゲインが10から20dBくらいのようですが、30dBというのはさすがにゲインが高いです。受信用に使うには状況によってフィルターが必要になりそうです。お値段が安いですから周波数カウンターなどの感度不足を感じるときに使ってみてもいいでしょう。

以上、お粗末。

★★★★
2023/9/2 update
同調回路なしの広帯域アンプですから、リスニング用というより回路のゲイン不足を感じたときに使っています。受信回路の調整でノイズジェネレーターを使うことがありますが、感度が足りない(信号のレベルが弱い)ときに一押し二押しできて便利です。

おしまい。

2018年12月31日月曜日

1球式再生式受信機キット RR-49を作ってみました(中波のみ)

久しぶりの更新になります。タイピングをすると右手が痛むので簡単な投稿です。

CQ出版社の1球式再生式受信機キット RR-49、RegenerativeReceiver RR-49を作ってみました。49はCQ(しーきゅー)にひっかけててるんだろうと思われますが、15W×10D cmの手のひらに乗るコンパクトな真空管式受信機(ラジオ)です。値段がちょっと高いですけれど、たまには真空管式もいいんじゃないかと思ったので紹介します。

自分は完全に半導体の世代ですが、以前に6球スーパーを作ったことがあり、真空管式ラジオも味があって面白いなと思っていました。たまたまwebでキットの発売を知りさっそく注文しました。暮れの21日金曜に届いてさっそく23日に組み立てました。

※ハンダ付け一晩、動作確認と調整一晩、アンテナ設置に半日、仕上げに半日で完成。





部品点数も少ないので組み立て説明書の通りに製作するだけです。説明書はカラー印刷で項目をチェックしながら作業を進めるようになっています。技術的な解説も記載されています。

部品をチェックしいて気づいたのですが、100pFのコンデンサー4個のところ102(1000pF 1KV)が入ってました。容量が違って使えないのでストックしてあったマイカコンデンサー100pFを使いました。400V以上が指定ですからトランジスタ用はNGです。※交換が必要な場合は販売元に連絡してください。


 製作はそのものは特に難しいところはありませんが、説明書の通りにやってうまくいかないときは臨機応変に進めます。組立の行程と回路図、実体配線図をいったりきたりすることになるので別にコピーをとった方がやりやすいかもしれません。自分は大変狭いスペースで作業をしているので、説明書1部だけで“いったりきたり”して組立ました。



ラグ板と真空管ソケットからの配線がGNDに落ちる箇所だけ、シャーシを紙やすりで軽く磨いてネジ止めの際に菊型のワッシャをいれました。念のためにやっただけですので、省いても大丈夫です。


精密プライヤーで部品の足を調整しながら、順番にハンダ付けしていきます。途中で絶縁チューブが不足したので、手持ちのエンパイア・チューブを使いました。


真空管はTELEFUNKEN ECL80/6AB8。3極管と5極管の複合管。





配線は説明書の指示に従ってください。僕の写真では間違えがあるかもしれません。

ネジのサイズも指示に従います。再生バリコンの取り付けは皿ビスの短い方でやらないと羽根にあたって回らなくなります。

通電する前に各所の抵抗値を測りますが、手持ちのデジタルテスターではうまく測れなかったのでアナログテスターで測りました。テスターリードの黒がGND側。

通電後各所の電圧を測るときは手袋をしてください。DC電圧は200V以上かかりますので注意。





一通り作業を終えて電源を入れてみたのですが、音がしません。再生バリコンを右から左へ回すとぶぶぶぶ~とうなりを上げます。それで、配線を点検したらハンダ付けを忘れたところが2か所。それでもシャーシを叩くと唸るのでどこに問題があるのかと思ったら、同調用のバリコンのステータ側からシャーシに落ちる部分の、バリコン側のネジがゆるんでました。これを締めて解決です。

ようやく唸りがとまったので、1メートルほどのビニール線をつけて受信です。が、蚊の鳴くような音しかしません。再生バリコンを左に回すとボッという音がするので、同調バリコンをまわして選局しますが、かろうじて放送波が聞こえるものの再生のビートに負けてしまいます。ケロケロ音です。

バーアンテナ(同調コイルと再生コイルを兼ねる)の両側を指でつまむと、感度アップ。スピーカーから音が聞こえます。


どうやら長いアンテナをつけないとダメなようです。

それで日をあらためてワイヤーアンテナを張り、ベランダの手すりにアースをとりました。敷地が狭いのでワイヤーの全長は7,8m(折り曲げ)、アースは手持ちの薄い銅板でベランダの手すりに容量結合させました。




かなりいい加減なアンテナとアースですが、これでリスニングができるくらいの音が出るようになりました。


再生が強くなりすぎない位置でバーアンテナのコイルの位置を決めて、結束タイで固定。ちなみに再生コイルは簡単にほどけないようになっているので、巻数の調整はしていませ
ん。リンクコイルのホルマル線はバーの下でよじってあります(説明書の通り)。



受信周波数の上限は同調バリコン上のトリマで調整します。トリマをゆるめて容量を抜いていくと上限が上がります。この調整をしないと中波放送帯の上限はカバーしていないかもしれません。(写真では向かって左側のネジ)


そして自分にとっては一番苦手なシール貼りです。前面パネルとシャーシの表面を無水エタノールで拭いて乾かしてから慎重にシールを貼ったのですが‥曇ってしまい透明になりません。クリアなのかと思っていましたが‥。

※アクリルにエタノールを付着させるとひび割れすることがあるそうです。エタノールで拭く場合は手早く、短時間で拭きとってください。心配な方は使わない方がいいかもしれません。




 ムラができるのはこういうシールなのか?、エタノールが残ってた?、シートから剥がした状態で良く観察しなかったのではっきりしませんが、貼り方が悪いのかもしれません。気泡もできてしまい、汚くなってしまいました。大失敗。アクリルの部分のムラは裏側の汚れではありません。あーあ、、(ToT)。

恥をしのんで失敗を公開。スマホやデジカメの液晶画面にシールを貼るのはできるんですけど‥。微妙な凹凸があったかな。


 途中でやりなおそうとしたのですが、粘着力が強くて簡単にはがれないので諦めました。このシールは剥がすと再び貼ることはできませんので注意してください。仕方がないのでPCかテプラでシールで作りなおしたいと思います。(シールには“Power”の文字もあったようなのですが、貼り忘れてしまいました)

結果論ですが‥組み立てたあとからシールを貼るのは難しいので事前に貼って養生して組み立てた方がいいかもしれません。そのときにメンディングテープなどでラインを引き、水平を出すなど工夫が必要です。

組立後シールを貼る場合は、台座を工夫してシャーシをガッチリ固定してから貼ってください。不安定な状態で作業をすると集中できません。

それと前面のパネル、特にスイッチのナットを締めるスパナやレンチは先端を養生テープで覆った方がシャーシに傷がつきません。自分は面倒なのでやりませんでしたが、作業中にシャーシに傷がつきやすいので、できれば養生テープを貼った方がいいです。



 最後にアクリル板で底板を作り、両面テープで貼りつけました。手持ちのアクリル板が1ミリで、久しぶりにアクリルカッターを使ったので上手くカットできずに苦戦しました。ゴム足(シール付き)をつけて完成。


 






完成写真。シール貼りを失敗して綺麗な仕上がりではないのですが、こんな感じになりました。



最後に自分なりにわかった受信のコツです。再生バリコンを右に回し切った状態(無音)から左へまわしていくと、ブッという音がして、さらに左にまわしていくとシャーという音がでます。同調バリコンをまわして選局するとビートがかかった状態で受信できるので、その状態で再生バリコンを右にまわして再生のレベルを落として一番聞きやすい状態にします。ビートが残ったり、音が抜けてしまう場合には、再度同調バリコンと再生バリコンを調整します。

当地ではNHK東京・第一、第二、在京民放、AFNすべて聞こえます。AFN(810kHz)は信号が強すぎて、うまく再生バリコンの調整ができません。それとアースをつけた方が信号の流れが良くなるので、できればあった方がいいですよ。

ボリュームはないので再生バリコンで調整します。スピーカーから出る音は室内で聴くには十分ですが、音質は硬めです。ガツンと聞こえるわけではありませんが、“風流”を楽しむのには丁度いいかも?

このキットは7MHz受信機への変更用パーツがついています。7MHzへの変更には中波用コイル(バーアンテナ)をはずして7MHz用コイル(トロイダルコア)をとりつけます。また、説明書には3.5MHz用コイルの説明も記載されています。

このキットの本来のコンセプトは“黎明期のアマチュア無線の雰囲気を楽しむ”ことのようですので、気が向いたら7MHz用受信機に変更してみたいと思います。

再生検波・電力増幅 6AB8/ECL80
中波用の受信周波数:492kHz~1670kHz
※ディップメーターで測ったおおよその周波数です。
電源電圧:AC100V

以上