2023年11月20日月曜日

ミニマルチアンテナ V4XH 建立ならず断念

 2年前に購入して設置するタイミングを見計らっていたミニマルチアンテナのV4XH・バーチカルアンテナ。昨日の午後気温が上がり無風のタイミングで作業にかかりましたが、結論から言うと失敗、設営は断念しました。




今回の作業には大前提があってすべて「1人でこなす」ということです。もはや手伝ってくれる人はいません。これからは1人で構築して1人で管理して撤去も自分1人でできるもの、1人でできないものは諦める…そう決めました。









バーチカルアンテナですから組立は簡単、1時間もかかりません。バルコニーに部品を並べ開始です。何回も組み立てたミニマルチさんのアンテナですから説明書をざっと見て給電部側の太いエレメントから接続してねじ止めをするだけです。仮組が終わったら各部の寸法を確認。よっこいしょと手すりに立てかけ、さらに屋上のふちに立てかけたときのことです。

重い!

重いだけではなくてぶっといトラップコイル2個がエレメントの中段から上に接続されているのでトップヘビー、最下部のエレメント周辺にかかるモーメントが半端ないです。ゆらゆら、ゆらゆら。この時点で嫌な予感が…。


全長6m、重さ6kg、トラップコイル2個をあまく見ていたわけではありませんが、想像した以上の重量感です。バルコニーから3m高い屋上に上ってヨイショヨイショと引き上げました。さーて問題はどうやって全長1mのマスト60φに取り付けるか。マストは既にステーアンカーにごっつい金具で固定してあります。


※↑上の写真は古いです。今回は撮り忘れた。マストの長さ1mです。


これまでV40LDX、V3Xと全長8mクラスのバーチカルを使ってきました。V3Xは1人で上げたので、Uボルトの幅だけ調整しておいてせーの!で持ち上げてストンとマストに落としこみました。その成功体験があったのでV4XDも1人でいけるでしょと高を括っていた。

V3Xより2m近く短いものの重量は2kgほど重いです。それにV3Xはコイルがひとつ、こちらは2つ、ゆらゆら感がだいぶ違う。


無風になったタイミングで意を決してせーの!!でV4XHを持ち上げます。マストに沿わせてボルトにひっかけ、せーの!せーの!!。が、1mのマストの上部まで給電部Cチャンネルの底辺が上がらない。


ゆらゆらぐらぐら……ゆらゆらぐらぐら……腰を落としてなんとか勢いで試みますがダメ。あと30cmいや20cm!。11月下旬だというのにやけに西日が強く感じられる。全身に汗が滲んでくる。


ダメだ、支えられない、上がらない。

最後の20cmが上がらない。


一息ついて作戦変更。一度バルコニーまで下して最下部のCチャンネルが繋がってる最下部のエレメントを外して、その部分だけマストに接続。そこから上のエレメントを持ち上げて最下部のパイプ(エレメント)に落とし込むという強引な作戦です。V4XHの給電部Cチャンネルはかなりの肉厚で強化版らしく重量がありますから、その分だけ負担が軽くなるだろうという算段です。この時点で頭が沸いてる。


決める!決めてやる!とばかりに残りのエレメントを屋上に引き上げますが、まだかなりの重量があります。意を決してせーの!とやろうとしますが、かえって難易度が上がってしまった。内径40mm(推定)くらいのパイプに全長5m以上あるパイプが落とし込めるわけがない。


無理無理、絶対無理、これは諦め。


できないとわかった瞬間、断念を決めました。仮にマストへの取り付けが成功したとしても、エレメント全体の長さの調整や仕上げの工程があるため何度か上げ下げしないといけません。各バンドでSWRが実用域に入ればそこで位置決め、下穴を開け直してタッピングビスで固定、結合部やビスの上に自己融着テープを巻き防水、テナコートを塗って完成です。


つまりこの先がまだまだあるのであって、勢いでマストに落とし込めても先が思いやられる。1人でやる以上このアンテナは諦めるしかない。


たぶんもう一人助っ人がいたらなんとかなるでしょう。これまでアンテナの構築は家族や親せきに手伝ってもらいました。ルーフタワーの建設もそれでできた。でも一昨年全撤去したときに、今後は1人で設置してメンテできる範囲に留めると決めた。


★★★★

一夜明けて高齢の同居人が「様子だけ見たい」とバルコニーにやってきました。V4XHを持ち上げるなり

「こりゃ重い。こんなに(根元に)力がかかるんじゃ、いつか強風でマストが負ける。ステーロープが必要なくらい。諦めろ。」

まあ、そうだよな。




今後のことは、ちょっと頭を冷やして考えます。これから気温が下がるので年内から来年春までは屋外の作業はできません。HF再開は遠のくばかり。

それと今日の作業で自分の腕力や握力が落ちてのを実感しました。漠然と無線ができるのもあと10年くらいと考えていましたが、アンテナが上げられないのでは仕方ない、早々に店じまいするかも。


★V4XH定格(組立説明書より)

使用可能周波数 7,10,14,21,28MHz ハムバンド

エレメント数 1

エレメント長 5.92m

バンド内VSWR 1.5 以下

耐入力 3KW PEP

給電点インピーダンス 50オーム

適合マスト口径 60mmφ

重量 約 6kg

※ミニマルチアンテナさんが廃業されて残念です。

同社から何基もアンテナを買いましたが、アルミが肉厚で強度的に信頼感がありました。

最後に買ったこのアンテナは記念に手元に残します。


★高所での作業や安全性について

僕がいうまでもありませんが、高所での作業は大変な危険がつきまといます。

この投稿では敢えて読める内容にしましたが、一歩間違えると事故につながります。自分だけでなく人も巻き込む。無線をやってるとアンテナには強い拘りがでてきますが、諸兄におかれましてはくれぐれも無理な作業をなさらぬように。



※2023年11月20日、作業終了後に撮影した写真。先週仮設した50MHzデルタループ(同軸の重みでちょっと傾いてる)と飛行機雲と月。50MHzはたまにFT8の信号が聞こえるだけで他入感無し。