2016年11月12日土曜日

LF-HF帯用スモール・アンテナ/Mini-Whip(コンパチらしい)を設置しました

この記事は諸般の事情で一度非公開にしたものを修正加筆したものです。ここに紹介するのではあくまでもキット版(コンパチ)です。製品版Mini-Whipを評価したわけではありません。内容的にも古いので、その前提で読んでください。最後に遅まきながら追記として実際に使った感想を書きました。

2023/9/2 update

★★★★

PA0RDT Mini-Whipとほぼコンパチらしい、“LF-HF帯用スモール・アンテナ”を設置してみました。

このページをご覧になっている方でしたら、Mini-Whipはご存じかと思います。超小型のアクティブ・アンテナです。そのMini-Whipとコンパチ、“スモール・アンテナ”のパーツ一式(キット)を頂戴して製作したのは2014年11月ころ。屋外に設置する場所がなくて思案しながら時間だけが過ぎてしまいましたが、ようやく実現しました(大袈裟?)。


設置した場所は我が家の屋上、ポールはグラスファイバーです。地上高10mくらいです。



上の画像は内部の基板です。長方形の“プローブ”(探針・左側)で信号を拾い、FETで持ち上げてからトランジスタで受けてインピーダンスを下げています。ローインピーダンスになっているので、同軸ケーブルで受信機につなげることができます。部品点数が少なくハンダ付けさえできれば、組立そのものはとても簡単です。電源の直流は同軸ケーブルに重畳します。





円筒形の筒のなかにアンテナ本体が入っていて、黒い箱が電源を接続する部分です(上の画像)。電源の電圧はDC9V。


デべクランプ(グラス・ファイバー工研)でマストに固定しました。アンテナ本体はとても軽いですからこれで十分でしょう。

屋上には送信に使うアンテナがいくつもあるので、回り込みを防止するためにフェライトバーに同軸ケーブルを巻きました。長さ10cmくらいのフェライトバーを3本まとめてから、8ターン巻きました。バーの本数や巻き数は適当です。1本で十分??

ちなみに同軸ケーブルは秋月電子で購入したBNCコネクタ付のRG58U、中継コネクタで2本つなげて15m。

さっそくIC-706(ゼネカバ受信)でいろいろな周波数を受信してみました。ローカルのAMラジオ放送を受信するには十分なゲインがあります。常にアッテネータを入れておかなくてはなりません。


Mini-Whipに関してはネットに沢山の情報がありますので詳しく書きませんが、超小型にしてはなかなの性能です。SDRでBCLやSWLをはじめた方には、ちょうどういいかもしれません。

尚、アクティブ・アンテナとMini-Whipについては、QEX Japan No.10で詳しく解説されています。実際の製作記事もありますので、興味のある方は参考にされてください。


追記:アクティブ・アンテナの思い出

自分がはじめてアクティブ・アンテナを使ったのは、30年以上前のことだと思います。はじめてのアクティブ・アンテナはマルドルの製品で白い円筒形の筒型をしていました。記憶が定かではありませんが、VHF~UHF用だったと思います。業務用の無線やアマチュアバンド(144/430)の受信に使いました。撤去するときに分解してみると筒の中に沢山のアルミ線(?)が入っていました。広帯域にするためなのか?不思議な構造でしたが何か設計上の根拠があったのでしょう。UHF帯に関してはあまりノイズっぽくならずに聞こえました。

次に購入したのがダイヤモンドの製品でモービルホイップ型、全長1mくらいのLF~UHF用でした。ゲインがやたらと高くてハンディ型広帯域受信機を飽和させてまうので、ゲイン調整のつまみ(電源供給部についてた)を最低に絞って使っていました。これなら自分でも作れると、アルミの棒にトランスとμPC1651などの広帯域アンプを接続して自作してみました。理屈も何も知りませんでしたから、ただノイズを増幅するだけのなんともお粗末なものしかできませんでした。

このスモール・アンテナ(Mini-Whipコンパチ)については、また感想を書くかもしれません。

追記:2023/09/02 update

肝心なことを書くのを忘れていました。このアンテナは使いこなすのが難しいアンテナで、とにかくノイズを良く拾ってしまいました。私の環境が市街地のど真ん中のせいもあったかもしれませんが、金属のマストの近く、ルーフタワーの近く、他のアンテナの近くでは使いものになりません。ハイインピーダンスで高感度の分とても敏感(?)で、少し場所を変えただけでノイズのレベルが大きく変わります。アンテナ片手に屋上を歩きまわって適切な設置場所を探しました。※電源はバッテリ(電池)に限ります。

しかしながら、フィールドに持ち出して電池で駆動させるとノイズレベルが一気に下がり、超小型の割にはまあまあ使えるようになりました。ただし自分が試した限りHFのアマチュアバンドやエアバンドの受信に成功したことがありません(至近距離で送信すれば別)。ラジオ放送のみです。実験をされてOMさんたちはデジタルモードの受信を試みているので、自分のやり方が至らないだけかもしれません。

アクティブアンテナ全般に言えることかもしれませんが、使い勝手は受信する周波数、環境に大きく影響されます。特に初心者の方は、受信専用パッシブ型や共振型とも仕組みが異なることを(自分なりに)理解した上で使った方が無難です。その上で小型であることにメリットがあるとか、あれこれ工夫して使いこなしてやる!の気概があれば楽しめます。

終わり














2016年11月7日月曜日

ちょっと珍しい?サガ電子・アローライン・AL-70FW

この記事は諸般の事情で一度非公開にしましたが、加筆修正して再公開することにしました。内容的に古いのでそのつもりで読んでください。FM局の局名、周波数は当時のままで修正していません。ネタとしては例のアローラインの70MHz版です。コイル付きですのでフルサイズではありません。共振型ですからローカルのFM放送受信用には十分ですが、感度を目一杯上げたハンディ型広帯域受信機では飽和してしまいました(後述)。

2023/9/2 update

★★★★

ちょっと珍しい?70MHz帯のアローライン・AL-70FWを紹介します。FM放送受信用アンテナを探している方に参考になるかと思い、このアンテナでFM放送の受信した結果などを含めて、投稿にまとめました。

このアンテナは20年ほど前に購入して、数か月間、LowVHF(60-70MHz)の受信に使用しました。物置に仕舞っておいたのですが、久しぶりに設置してみました。70MHz帯用ですからFM放送の受信に使えます。周囲に高い建物が増えてFM放送が受信しにくくなってますから、どの程度使えることやら‥。

以下にアンテナ全体と畳んだ状態の画像を掲載しますが、空を背景にして撮影しにくい場所にあるのでわかりにくい部分はご容赦ください(狭い場所で撮影しています)。








附属していた説明書にある規格
型名:AL-70FW
周波数:76-90MHz
垂直偏波 無指向性
全長 1.2m 重量:約300g
同軸ケーブル 5D-2V 20m

アローライン・シリーズは非常に軽いのが特徴ですが、本製品も重さ300gです。1本のラジエター、3本のラジアル、それぞれに延長コイルがついています。ラジアルのロックを外してラジエターを上の方に外すと、簡単に折りたためます。

中心周波数が84MHz帯になるように調整しましたが、工場出荷時は76MHzに調整してあるそうです。必要であればエレメントの長さを調節することになります。

アンテナ・アナライザーで測定してみるとSWRの底が1.2くらい、±1MHzで2.0以下になるようです。受信用ですからそれほど気にする必要はありませんが、受信周波数が中心周波数から大きくずれれば共振状態ではなくなります。

長さ1.2mの短縮型なので利得はダイポール比でマイナス、水平と垂直では20dB差があるとされますから、水平系と比べると不利になります。垂直偏波・無指向性ですから、回析、反射、マルチパスも全て受信してしまいます。ちょうど屋上にラジオを持って上がりロッドアンテナで受信したのと同じ程度でしょうか?

それとアローラインは、ラジアルが通常のブラウン・アンテナ(GP)より斜め下方に広がっていて、輻射パターンはブロードにして水平より下方にも輻射(受信)するのが特徴とされてます。そもそも垂直ダイポールの片側を上げて開閉角をやや狭めてインピーダンスを下げたのか?GPのラジアルを水平から下げてインピーダンスを高くしたのか?、、どちらでもいいか。。

‥ということは、いろいろな方向から到来する電波を受信するには有利かもしれませんが、マルチパスなどによる音質の劣化が気になる方には向かきませんね。

★★★★

以下、FM放送を受信した結果です。チューナーはDENON TU-7.5。シグナルメーターがないので、“全くの主観”で受信状態を評価してみました。東京都の郊外(市街地)で垂直・無指向性のアンテナでもこの程度受信できる、という目安にしてください。

※受信地は東京都町田市の市街地、周囲に高い建物あり、アンテナの地上高約10m、同軸ケーブル5D-2V 20mで引き込み。RFプリアンプ、ブースターは無し。チューナーのアンテナ・インピーダンスは75Ωですが、変換コネクタを介して50Ωの同軸ケーブルをそのまま接続しました。受信に関してはこの程度のインピーダンスの違いは問題ないです。

※受信した内容から局名は確認していますが、周波数の記載に間違えがあるかもしれません。同じ局を受信しようとする場合はご自身で周波数を確認してください。


●とても良い(ステレオで受信してもノイズがなく音がクリア) so strong ! good audio !
TOKYO FM 80.0MHz
J-WAVE 81.3MHz
NHK-FM 東京 82.5MHz
FM Yokohama 84.7MHz

放送大学 ※モノラル 77.1MHz

●良い(ほとんどノイズが気にならず音がクリア) good signal !
bay fm 78.0MHz
FM NACK5 79.5MHz
NHK-FM 横浜 81.9MHz
TOKYO FM 檜原中継局 86.6MHz

●まあまあ良い(時々ノイズが気になることがある) so so...
NHK-FM 千葉 80.7MHz
エフエム さがみ(FM HOT・神奈川県相模原市)83.9MHz

●ステレオではちょっと厳しいかも(モノラルで受信したい)
enough for monophonic

FM YAMATO(神奈川県大和市) 77.7MHz
NHK-FM 水戸 83.2MHz
InterFM 89.7MHz
かずさエフエム(送信所・君津市鹿野山) 83.4MHz

●厳しいけどモノラルなら受信可  - - -
InterFM 横浜中継局 76.5MHz
FM FUJI 三つ峠(山梨県)中継局 78.6MHz
NHK-FM さいたま 85.1MHz
NHK-FM 三つ峠(山梨県)中継局 86.0MHz
J-WAVE 港中継局 88.3MHz

総じて、ローケションが悪いわりには良く受信できたような気がします。無指向性であることが、送信所の方向がわかれている当地では有利になったかもしれません。

しかし、繰り返しになりますが、特段、高性能なアンテナではありません。一部のサイトでは“送信専用”として売られていますが、輻射効率を考えたら‥どうなんだろう??

追記 2023/9/2 update
VR-500(ハンディ型広帯域受信機)に接続してWideFMを受信したところ、ゲインが高すぎて飽和してしまいました。メーター振り切れ、二重三重に聴こえてしまい内臓アッテネータを使ってもダメでした。あの手の受信機は付属アンテナで受信できるように感度を目一杯あげているので仕方ないです。

★★★★

最後に‥いまどきFM放送はインターネットでも配信されてますから、わざわざ受信用アンテナを上げる必要がなくなってます。自分は無線を趣味にしてきたのでアンテナで受信することに拘ってしまいますが、“受信状態が悪いけれどもFM放送を聴きたい”方は、あまり無理をせずインターネット経由での受信を検討された方が無難かもしれません。

高所での作業に伴うリスクや、アンテナ本体、資材の代金を考慮すると、インターネット経由の方が各段に低コストで済みます。

サガ電子さんのAL-70FWのページです。※リンク切れの際はご容赦ください。
http://www.sagant.co.jp/communications/arrow/1266/


★★★★

<参考・このアンテナを設置するのに使った資材>※広告・宣伝ではありません

今回はグラスファイバーのポールをマストに使ってみました。軽いアンテナですから、金属製の太いマストはいらなかったのと、アローラインの下に超小型アクティブアンテナを設置するつもりだったからです。グラスファイバーですがら、電気的な導通がありません。中段にアンテナを取り付けてもマストの影響を受けません。

以下の資材の一式は、グラス・ファイバー工研さんから通販で購入しました。

・SFポールパーツ 50φ 1m グレー (グラスファイバーのポール)
・ポールキャップ 50φ 用(2個1組)
・デべクランプ 54×32φ Mini-Whip(コンパチ用)
・Uブラ UB-1103 2個





アンテナマストをどうやって取り付けるか工夫のしどころですが、今回は屋上にある四角柱の突起物(ステーアンカー)に取り付けました。


アローライン程度の軽いアンテナでしたら、十二分に保持できると思います。 

おしまい。